相続税法上の財産評価の方法を規定する財産評価基本通達では、さまざまな資産の評価方法が定められています。立竹木(りゅうちくぼく)のその一つで、土地とは別に、立木や立竹を別個に評価することとされています。
1.立竹木の評価単位と評価方法
立竹木の評価単位は、立竹木の種類や状態によって評価単位が異なります。
・ 森林の立木:樹種・樹齢が同じである一団ごと
・ 森林以外の立木:1本ごと
・ 庭園にある立竹木:庭園にある立竹木全部
・ 庭園以外の立竹:一団の土地にある立竹
森林の立木は、伐採して材木として出荷することを前提に、評価方法が事細かに定められています。樹種・樹齢や森林の状態(地味の肥せき、立木の密度、搬出の利便性)に応じて算出または定められた1ヘクタールあたりの標準価額に、森林の面積(ヘクタール)を掛けた金額によって評価します。
その他の立木や立竹については、伐採して出荷することは前提とされておらず、個別の事例ごとに、売買実例価額や精通者意見価格を参考に評価することとされています。
2.庭園の立竹木の評価方法
庭園とは、鑑賞や娯楽のために、敷地内に人工的に整備された場所をいいます。庭園には立木や立竹を植えるほか、花壇や水路、池などが整備されます。
相続税法の実務において、課税財産にあたる庭園は、相当高額な客観的価値を備えた庭園、つまり、入場料をもらって公開するほどの規模や価値がある庭園に限られると解釈されています。したがって、一般家庭の庭は土地そのものの評価にとどまり、木を個別に評価することはしません。
財産評価基本通達において、庭園にある立木や立竹の価額は、他の庭園設備と一括して財産評価基本通達92(3)の定めによって評価することとされています。庭園設備全体の価額は、その庭園設備の調達価額の70%の価額で評価します。
調達価額とは、課税時期においてその庭園を再度造る場合の価額をいいます、したがって、立木や立竹など設備そのものの価額だけではなく、搬入や植栽、据え付けに係る費用も含めたものとなります。
土地の上に設置されるもののうち、家屋には固定資産税評価額がつけられていますが、庭園設備にはつけられていません。そのため、相続税法上、このように庭園設備の評価方法が定められています。庭園は法人税法や所得税法上の減価償却資産ですが、実際にどの程度減価しているかを見積もるのは困難であることから、相続税法上は調達価額をもとに評価することとされています。
実務上、庭園にある立木や立竹を評価することはほとんどなく、よほど立派なものに限定されるでしょう。
【財産評価基本通達】
(庭園にある立木及び立竹の評価)
125 庭園にある立木及び立竹の価額は、庭園設備と一括して、92≪附属設備等の評価≫の(3)の定めによって評価する。
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