従業員社宅とは、会社がその会社に勤務する従業員(正規雇用/非正規雇用を問わず)に対して居住地を確保するものです。
当然そこに在住可能な人は「その会社の従業員とその家族」に限られる上に、従業員としての立場を失った後は直ちにその居住地から立ち退く責務があります。
しかしその一方で、国税庁が指針を示している源泉所得税の考え方から、従業員社宅の居住者から会社が一定の額(固定資産税の課税評価額や建物の総床面積などの条件から特定の計算式を用いて算出された額)以上の家賃を徴収していれば、たとえその家賃が従業員住宅の存在する地区での、従業員住宅と同等の設備を持った一般の賃貸住宅の賃料相場と著しい乖離があったとしても、その差額分に対して「給与相当分としての課税を行わない。」という、従業員にとっては税制上の優遇措置もあります。
従業員社宅の敷地の評価について
従業員住宅も一種の貸家建付地であるために、「財産評価基本通達第2章26:貸家建付地の評価」に準ずる形での評価が行われると考える向きもありますが、国税庁では従業員社宅の敷地の評価についての評価の方針を明確に提示しています。
すなわち従業員社宅は、社員の福利厚生施設のひとつとして設置するものであり、従業員住宅を使用する条件としてその会社の従業員である身分を保有する期間に限るものであること。
更に福利厚生の面からしても一般の賃貸住宅と比較しても賃料が一般の賃貸借の住宅と比較して賃料が極めて安価であることなどを考慮して、従業員住宅には法務省は管轄の「借地借家法」の適用を行わないとしています。
そのために、国税庁の見解もこの法務省の決定をふまえて、税が発生した場合でも従業員社宅の敷地の評価では貸家建付地としての評価を行わないこととしています。
【財産評価総則基本通達第2章26】(貸家建付地の評価)
貸家(94≪借家権の評価≫に定める借家権の目的となっている家屋をいう。以下同じ。)の敷地の用に供されている宅地(以下「貸家建付地」という。)の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。(平3課評2-4外・平11課評2-12外改正)
この算式における「借地権割合」及び「賃貸割合」 は、それぞれ次による。
(1) 「借地権割合」は、27≪借地権の評価≫の定めによるその宅地に係る借地権割合(同項のただし書に定める地域にある宅地については100分の20とする。次項において同じ。)による。
(2) 「賃貸割合」は、その貸家に係る各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分をいう。以下同じ。)がある場合に、その各独立部分の賃貸の状況に基づいて、次の算式により計算した割合による。
(注)
1 上記算式の「各独立部分」とは、建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいう。したがって、例えば、ふすま、障子又はベニヤ板等の堅固でないものによって仕切られている部分及び階層で区分されていても、独立した出入口を有しない部分は「各独立部分」には該当しない。
なお、外部に接する出入口を有しない部分であっても、共同で使用すべき廊下、階段、エレベーター等の共用部分のみを通って外部と出入りすることができる構造となっているものは、上記の「独立した出入口を有するもの」に該当する。
2 上記算式の「賃貸されている各独立部分」には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。