被相続人が採草放牧地を所有していた場合には、その採草放牧地の相続税評価が必要になります。そこで、採草放牧地の相続税評価を行う場合に、その地目をどうすべきかという問題について、以下で解説します。
採草放牧地とは
採草放牧地とは、農地法上の土地区分です。
農地法第2条では、「農地」とは、耕作の目的に供されている土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養蚕の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの、と規定しています。
ちなみに、不動産登記法で定める土地の地目には、「採草放牧地」はありません。
また、相続税評価を定める財産評価基本通達7で定める土地の評価上の区分にも「採草放牧地」の区分はありません。
採草放牧地の地目について
ある方が、牧場敷地など農地法上の採草放牧地の相続税評価を行う場合に、その地目(相続税評価上の土地の区分)はどうすればよいのかについて、国税庁に対して照会を行いました。
それに対して、国税庁では、採草放牧地は、課税時期の現況によって、財産評価基本通達の7で定める土地の評価上の区分のうち、「原野」又は「牧場」として評価すると回答しました。
この質疑応答を「採草放牧地の地目について」といいます。
相続税評価における「原野」及び「牧場」の評価単位について
相続税評価における「原野」の評価単位は、1筆ごとに行います。
一方、「牧場」の評価課単位は、原野に準ずるとされておりますから、「牧場」の評価単位も、原則として、1筆ごとということになります。
評価対象地が土地の相続税評価方式に評価倍率を採用する地域に所在する場合には、評価対象「原野」又は「牧場」の固定資産評価額に、評価倍率を乗じて相続税評価額を計算できますので、その評価手続きは簡便となります。
相続税評価における「原野」及び「牧場」の評価方法の特徴について
なお、相続税評価における土地の評価区分は、登記簿上の地目ではなく現況により判断しますから、登記簿上の地目が「原野」でも、現況が「牧場」であれば「牧場」として評価し、登記簿上の地目が「牧場」でも、現況が「原野」であれば「原野」で評価します。
さらに、1筆の土地の中に、現況が「原野」となっている部分と現況が「牧場」となっている部分が存在する場合には、「原野」又は「牧場」のうち、その土地の主たる部分を占める区分によって、1筆全体を評価します。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。