接道義務を満たしていない宅地の相続税評価

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建築基準法第43条11項には、家を建築するための接道義務として『建築物の敷地は道路に2m以上接していなければならない(間口距離は2m以上)』という基準を設けていて、それに合致しない土地に関しては現在建築されている家の存在自体は認めても、建て替え等で新たにその土地に建物を建築することを原則的に認めていません。
そのために、間口距離が2m未満である土地、具体的には道路との接続部分が2m未満の旗状の土地などがこの接道義務を満たしていない宅地に該当します。
この土地の場合、建物の建て替えや新築、宅地として使用することに支障を生じるため、相続時の税制上では同じ面積の通常の宅地と比較して、優遇的な評価を行うことになります。

接道義務を満たしていない宅地の評価

国税庁の見解として接道義務を満たしていない宅地の評価においては、「通路の部分を2m以上にしないと建築に著しい制限がある土地」とみなされ、「無道路地」として評価を行います。
例えば、間口距離が2m未満の通路にて路線と接している旗状の宅地を例に挙げると、「財産評価総則基本通達第2章20:不整形地の評価(4)」によりまず該当の旗状の土地と、通利に隣接する整形地の評価を行い、該当の「旗状の土地の評価計算値」を算出します。
次に、この「旗状の土地の評価計算値」に「不整形地補正、間口狭小補正、奥行長大補正」等の補正率を掛け算して、更に「補正を行った旗状の土地の評価計算値」を算出します。
最後に、現状では新規の家屋建築が建築基準法上不可能なことから、「間口を2mとした場合に不足する通路部分の面積」を算出し、路線価を掛け算して「間口を2mとした場合に不足する通路部分の価額」を算出します。
このように各計算値を算出した上で、「補正を行った旗状の土地の評価計算値」から「間口を2mとした場合に不足する通路部分の価格」を控除した残りの価額が、この場合の接道義務を満たしていない宅地の評価価額となります。

【財産評価総則基本通達第2章20-2】(無道路地の評価)
無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき20≪不整形地の評価≫の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。(平11課評2-12外追加、平12課評2-4外改正)
(注)
1 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。
2 20≪不整形地の評価≫の定めにより、付表5「不整形地補正率表」の(注)3の計算をするに当たっては、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用する。

【財産評価総則基本通達第2章20】(不整形地の評価)
不整形地(三角地を含む。以下同じ。)の価額は、次の(1)から(4)までのいずれかの方法により15≪奥行価格補正≫から18≪三方又は四方路線影響加算≫までの 定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、付表4「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた付表5「不整形地補正率表」に定める補正率(以下「不整形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する。(昭45直資3-13・昭47直資3-16・昭57直評22・平3課評2-4外・平11課評2-12外・平12課評2-4外改正)
(1) 次図のように不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法

(2) 次図のように不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法

(注) ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形又は正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。
(3) 次図のように不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」という。)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法

(注) 近似整形地は、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求める((4)において同じ。)。
(4) 次図のように近似整形地(①)を求め、隣接する整形地(②)と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地(②)の価額を差し引いた価額を基として計算する方法

【財産評価総則基本通達第2章付表5】不整形地補正率表(平11課評2-12外追加・平18課評2-27外改正)
※本表は平成19年分以降用です。

地区区分 高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、中小工場地区 普通住宅地区
地積区分 A B C A B C
かげ地割合
10%以上 0.99 0.99 1.00 0.98 0.99 0.99
15% 〃 0.98 0.99 0.99 0.96 0.98 0.99
20% 〃 0.97 0.98 0.99 0.94 0.97 0.98
25% 〃 0.96 0.98 0.99 0.92 0.95 0.97
30% 〃 0.94 0.97 0.98 0.90 0.93 0.96
35% 〃 0.92 0.95 0.98 0.88 0.91 0.94
40% 〃 0.90 0.93 0.97 0.85 0.88 0.92
45% 〃 0.87 0.91 0.95 0.82 0.85 0.90
50% 〃 0.84 0.89 0.93 0.79 0.82 0.87
55% 〃 0.80 0.87 0.90 0.75 0.78 0.83
60% 〃 0.76 0.84 0.86 0.70 0.73 0.78
65% 〃 0.70 0.75 0.80 0.60 0.65 0.70

(注)
1 不整形地の地区区分に応ずる地積区分は、付表4「地積区分表」による。
2 かげ地割合は次の算式により計算した割合による。

3 間口狭小補正率の適用がある場合においては、この表により求めた不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて得た数値を不整形地補正率とする。ただし、その最小値はこの表に定める不整形地補正率の最小値(0.60)とする。
 また、奥行長大補正率の適用がある場合においては、選択により、不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて得た数値によって差し支えない。
4 大工場地区にある不整形地については、原則として不整形地補正を行わないが、地積がおおむね9,000平方メートル程度までのものについては、付表4「地積区分表」及びこの表に掲げる中小工場地区の区分により不整形地としての補正を行って差し支えない。

【財産評価総則基本通達第2章付表6】間口狭小補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正)
※本表は平成19年分以降用です。

地区区分

           

間口距離  
(メートル) 

ビル街地区 高度商業地区 繁華街地区 普通商業・
併用住宅地区
普通住宅
地区
中小工場地区 大工場地区
 4未満 0.85 0.90 0.90 0.90 0.80 0.80
 4以上6未満  0.94 1.00 0.97 0.94 0.85 0.85
 6 〃  8 〃 0.97 1.00 0.97 0.90 0.90
 8 〃  10 〃 0.95 1.00 1.00 0.95 0.95
 10 〃  16 〃 0.97 1.00 0.97
 16 〃  22 〃 0.98 0.98
 22 〃  28 〃 0.99 0.99
 28 〃 1.00 1.00

【財産評価総則基本通達第2章付表7】奥行長大補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外改正)

地区区分

奥行距離
間口距離
ビル街地区 高度商業地区
繁華街地区
普通商業・
併用住宅地区 
普通住宅地区 中小工場地区 大工場地区
 2以上3未満 1.00 1.00 0.98 1.00 1.00
 3 〃  4 〃 0.99 0.96 0.99
 4 〃  5 〃 0.98 0.94 0.98
 5 〃  6 〃 0.96 0.92 0.96
 6 〃  7 〃 0.94 0.90 0.94
 7 〃  8 〃 0.92 0.92
 8 〃 0.90 0.90

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