文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の相続税評価

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重要文化財に指定されている建物や、登録有形文化財の登録を受けている建物等の敷地となっている宅地を相続又は遺贈によって取得した場合には、当該宅地の相続税評価が必要になります。では、当該評価はどのようにして行うのでしょうか。以下で解説します。

文化財建造物の敷地に供されている宅地の相続税評価

相続税評価の基準を定めた財産評価基本通達第2章第2節(28-4)では、文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価方法について規定されています。

それによると、当該宅地の相続税評価額は、当該宅地が文化財建造物の敷地でないとした場合の当該宅地の相続税評価額から、その価額に以下で表示する文化財建造物の種類に応じて定められる控除割合を乗じて計算した金額を、控除した価額となります。

(1)当該宅地上の建造物が重要文化財である場合、控除割合は0.7
(2)当該宅地上の建造物が登録有形文化財である場合、控除割合は0.3
(3)当該宅地上の建造物が伝統的建造物である場合、控除割合は0.3

ここで、重要文化財とは、建造物、絵画、彫刻等のうち芸術上又は歴史上の価値が高いものや、学術性の高い歴史資料のことを有形文化財といいますが、この有形文化財のうち、特に重要なものとして、文化財保護法第27条第1項の規定により文部科学大臣が指定したものをいいます。

一方、登録有形文化財とは、1966年の文化財保護法改正によって創設された文化財登録制度に基づき、文化財保護法第58条第1項の規定によって文化財登録原簿に登録された文化財のことをいいます。

この文化財登録制度は、重要文化財のような指定制度では保護できない文化財を保護することを目的としているため、登録有形文化財として登録できるのは、重要文化財の指定を受けていないものに限られます。

最後の伝統的建造物とは、城下町、宿場町、門前町等全国各地に残る歴史的な集落、町並みの保存を目的として、文化財保護法施行令第4条第3項第1号の規定により市町村が指定する伝統的建造物保存地区内にある建造物のことをいいます。

文化財建造物の敷地に供されている宅地の相続税評価に関する補足

例えば、重要文化財の指定を受けている建造物の敷地となっている宅地について、当該宅地が当該建造物の敷地でないとした場合の相続税評価額が500万円だとすると、当該宅地の相続税評価額は、
500万円 -(500万円 × 0.7)= 150万円
となります。

なお、文化財建造物の敷地に供されている宅地が、宅地の相続税評価を倍率方式で行う地域に所在し、かつ、当該宅地に固定資産税評価額が付されていない場合には、その宅地と状況が類似する付近の宅地の固定資産税評価額を参考として、その宅地の固定資産税評価額に相当する金額を算定し、その金額に評価倍率を乗じた価額を当該宅地の相続税評価額とします。

また、文化財建造物である家屋の敷地とともに、その文化財建造物である家屋と一体となって価値を形成している土地がある場合、その土地の価額は、文化財建造物の敷地に供されている宅地の相続税評価と同様の方法によって、計算します。


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