文化財保護法によって定められる建造物の敷地を相続によって取得した場合には、
当該敷地の相続税評価を行う必要があります。そして、それは通常の宅地の相続税評価の方法と異なる方法によって行われます。以下では、それについて解説します。
文化財建造物とは
相続税評価における文化財建造物とは、以下の建造物が該当します。
(1)文化財保護法第27条第1項に規定する重要文化財に指定された建造物
(2)文化財保護法第58条第1項で規定する登録有形文化財である建造物
(3)文化財保護法施行令第4条第3項第1号で規定する伝統的建造物
歴史的価値がある建造物の敷地となっている宅地でも、上記に該当しない場合には、通常の宅地に用いられる相続税評価の方法が適用されます。相続税評価に特別な方法が用いられるのは、上記(1)~(3)に該当する建造物の敷地となっている宅地評価に限られます。
文化財構造物の敷地となっている宅地の相続税評価について
文化財構造物の敷地となっている宅地の相続税評価は、当該宅地が文化財構造物の敷地でないとした場合の宅地の評価額に、文化財の種類に応じて定められる以下の割合を控除した金額として定められます。
(1)重要文化財 0.7
(2)登録有形文化財 0.3
(3)伝統的文化財 0.3
例えば、重要文化財である構造物の敷地となっている宅地の、それが重要文化財の構造物の敷地でないとした場合の相続税評価額が1,000万円であるとした場合、当該宅地の相続税評価額は、1,000万円×(1-0.7)=300万円となります。
文化財構造物の敷地となっている宅地の相続税評価の留意点について
文化財構造物の敷地となっている宅地が相続税評価上の倍率地域に属している場合には、当該土地に付されている固定資産税評価額に評価倍率を乗じた価額から、文化財の種類に応じて定められる一定割合を控除して、相続税評価額を算定するのが原則です。
しかし、当該敷地に固定資産税評価額が定められていない場合には、その宅地と状況が類似する付近の宅地の固定資産税評価額に、付近の宅地と評価対象地の位置や形状の条件差を考慮した修正を行った価額に、当該敷地所在地の宅地の評価倍率を乗じた価額を当該敷地の評価額とします。
また、文化財建造物の家屋の敷地となっている土地とともに、その文化財建造物である家屋と一体となって価値を形成している土地があれば、その土地の相続税評価も、文化財建造物等である家屋の敷地となっている土地と同様の評価となります。
例えば、重要文化財である家屋に付属する庭園の敷地も、当該家屋の敷地と同様に、その土地が庭園敷地でないとした場合の土地の評価額から、その価額に0.7を乗じた価額を控除した価額が、その相続税評価額になります。