株式及び株式に関する権利の評価単位

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財産評価基本通達では、評価の対象となる株式や株式に関する権利の種類に応じて、価額の評価方法が細かく定められています。相続財産に株式や株式に関する権利が含まれる場合として、次のような場合が考えられます。

□ 被相続人(亡くなった人)が株式投資をしていた。
□ 被相続人が企業オーナーであった。
□ 被相続人が勤務先から自社株やストックオプションを付与されていた。
□ 被相続人が両親などから株式を相続していた。

1.株式及び株式に関する権利の評価単位

株式や株式に関する権利の価額は、銘柄ごとに、1株または1個単位で評価することとされています。

2.株式及び株式に関する権利の種類と評価方法

(1) 上場株式

金融商品取引所(証券取引所)に上場されている株式が該当します。市場では日々価格が形成されるので、市場価格に基づいて評価します。

(2) 気配相場等のある株式

気配相場等のある株式とは、具体的には、公開途上にある株式のことをいいます。株式の公開価格または課税時期以前の取引価格に基づいて評価します。条文には登録銘柄・店頭管理銘柄も含まれていますが、現在は、それらに該当する株式はありません。

(3) 取引相場のない株式

金融商品取引所に上場されていない株式が該当します。会社の規模や株主構成に応じて、純資産価額、類似業種比準価額、配当還元価額など定められた方法で評価します。

(4) 株式の割当てを受ける権利

株式の割当基準日の翌日から株式の割当ての日までの間における株式の割当てを受ける権利をいいます。株式の評価額からその割当てを受けた株式1株について払い込む金額を引いた金額で評価します。

(5) 株主となる権利

一定の期間に株式の引受けをする権利のことをいいます。会社設立の場合は株式1株について払い込んだ金額で、会社設立後の場合は割り当てられる株式の種類に応じて定められた方法で評価します。

(6) 株式無償交付期待権

株式の無償交付とは、株主に対してその株式の数に応じた一定の割合で、無償で株式を発行すること、または、自己株式を交付することをいい、一定の期間において株式の無償交付を受けられる権利を株式無償交付期待権といいます。割り当てられる株式の種類に応じて定められた方法で評価します。

(7) 配当期待権

配当期待権とは、一定の期間に配当金を受けることができる権利をいいます。配当期待権の価額は、予想される配当の金額から源泉所得税の額を差し引いて評価します。

(8) ストックオプション

ストックオプションとは、企業の役職員が将来の一定の時期(権利行使可能期間)に定められた価額(権利行使価額)で自社の株式を取得できる権利のことをいいます。財産評価基本通達には、取得できる株式が上場されているか、上場が予定されているものであって、かつ、課税時期が権利行使可能期間内にあるものに限り規定があります。ストックオプションの価額は、課税時期における株式の価額と権利行使価額の差額にストックオプション1個の行使で取得できる株式の数を掛けた値で評価します。

(評価単位)
168 株式及び株式に関する権利の価額は、それらの銘柄の異なるごとに、次に掲げる区分に従い、その1株又は1個ごとに評価する。(昭53直評5外・平2直評12外・平14課評2-2外・平15課評2-15外・平18課評2-27外・平20課評2-5外改正)

(1) 上場株式(金融商品取引所(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条≪定義≫第16項に規定する金融商品取引所をいう。以下同じ。)に上場されている株式をいう。以下同じ。)
(2) 気配相場等のある株式
 気配相場等のある株式とは、次に掲げる株式をいう。
イ 登録銘柄(日本証券業協会の内規によって登録銘柄として登録されている株式をいう。以下同じ。)及び店頭管理銘柄(同協会の内規によって店頭管理銘柄として指定されている株式をいう。以下同じ。)
ロ 公開途上にある株式(金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式(登録銘柄を除く。)及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式(店頭管理銘柄を除く。)をいう。以下同じ。)
(3) 取引相場のない株式((1)及び(2)に掲げる株式以外の株式をいう。以下同じ。)
(4) 株式の割当てを受ける権利(株式の割当基準日の翌日から株式の割当ての日までの間における株式の割当てを受ける権利をいう。以下同じ。)
(5) 株主となる権利(株式の申込みに対して割当てがあった日の翌日(会社の設立に際し発起人が引受けをする株式にあっては、その引受けの日)から会社の設立登記の日の前日(会社成立後の株式の割当ての場合にあっては、払込期日(払込期間の定めがある場合には払込みの日))までの間における株式の引受けに係る権利をいう。以下同じ。)
(6) 株式無償交付期待権(株式無償交付の基準日の翌日から株式無償交付の効力が発生する日までの間における株式の無償交付を受けることができる権利をいう。以下同じ。)
(7) 配当期待権(配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの間における配当金を受けることができる権利をいう。以下同じ。)
(8) ストックオプション(会社法(平成17年法律第86号)第2条第21号に規定する新株予約権が無償で付与されたものをいう。ただし、その目的たる株式が上場株式又は気配相場等のある株式であり、かつ、課税時期が権利行使可能期間内にあるものに限る。)


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