土地を評価するにあたっては、土地そのものだけでなく、その土地にある樹木などについても評価を行う必要があります。税法上は「果樹」と「立竹木」に分類され、それぞれについて評価方法が定められています。財産評価基本通達では、立竹木を評価するときの単位を次のように定めています。
(1) 森林の立木 樹種及び樹齢を同じくする1団地の立木
(2) (1)以外の立木((3)に該当する立木を除く。) 1本の立木
(3) 庭園にある立竹木 その庭園にある立竹木の全部
(4) 立竹((3)に掲げる立竹を除く。) 1団地にある立竹
立木の評価にあたっては、立木の一本一本について価額を求めることとした場合、土地に一本だけ立っている場合は容易ですが、広大な山林に立木が何百本、何千本とある場合は途方もない労力が必要となります。そのため、一定の評価単位を定めています。
ここでは「(1)以外の立木((3)に該当する立木を除く。)」、すなわち、森林の立木以外の立木の評価方法について説明します。
1.森林の立木以外の立木の相続税評価
森林の立木以外の立木とは、財産評価基本通達では、森林の立木以外の立木で庭園にある立木を除く、とされています。具体的には、畑の中の桐、けやきや、住宅の敷地に木が一本だけ立っている場合などが考えられます。
この場合、立木1本ごとに評価することになりますが、財産基本通達で具体的な算出方法は定められておらず、原木市場における売買実例価額、材木商などの取引業者等の精通者意見価格を参考に評価することとされています。
2.課税価格算定にあたっての評価減
相続税法第26条では、「相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。)により取得した立木の価額は、当該立木を取得した時における立木の時価に100分の85の割合を乗じて算出した金額による。」とされています。
つまり、相続、包括遺贈(相続財産の一定割合を遺贈する方法)または相続人への遺贈によって受け取った森林の立木以外の立木の課税価格は、原木市場における売買実例価額、材木商などの取引業者等の精通者意見価格を参考に評価した価額に85%を掛けた額となります。これは、立木は一般に換金性が低いことや、立木が成長資産であることを考慮したものといわれています。
ただし、この減額評価の規定は、相続、包括遺贈または相続人への遺贈の場合に限って適用されるのであって、贈与、特定遺贈(相続財産の特定のものを指定して遺贈する方法)の場合は適用されないことに注意が必要です。このことは、相続税基本通達26-1に明記されています。
【財産評価基本通達122】(森林の立木以外の立木の評価)
森林の立木以外の立木(庭園にある立木を除く。)の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)