相続などで財産を取得したときに外国に居住していて日本に住所がない人は、取得した財産のうち日本国内にある財産だけが相続税の対象になります。ただし、次のすべてに当てはまる人が財産を取得した場合には、財産の所在に関係なく、日本国外にある財産についても相続税の対象になります。
1.財産を取得したときに日本国籍を有している。
2.被相続人又は財産を取得した人が被相続人の死亡した日前5年以内に日本国内に住所を有したことがある。
(注)留学や海外出張など一時的に日本国内を離れている人は、日本国内に住所があることになります。
海外にある預金(外貨預金)
日本にある場合と同じく、相続開始日時点の残高で評価を行います。なお、為替レートは、預け入れ金融機関が発表している相続開始日時点のTTBレートを使用します。なお、課税時期に為替レートがない場合には、課税時期前の相場のうち、課税時期に最も近い日の相場により評価します。
海外の有価証券
海外の市場に上場している株式を評価する際は、日本の市場に上場している株式と同様に評価を行います。その他の投資信託等の金融商品も日本のものと同様の方法で評価し、最後に邦貨換算を行うこととなります。
海外にある不動産
日本にある不動産の場合、財産評価基本通達の定めにより、土地については路線価、建物については固定資産税評価額と、一般的に考えられる時価よりも低い金額で評価を行うこととなっています。
一方、海外にある不動産の場合には、こういった路線価等の設定が通常はありません。よって、海外にある不動産については、原則として、売買実例価額、地価の公示制度に基づく価格及び鑑定評価額等を参酌して評価します。実務的には、現地の専門家に、“時価”を算出してもらいその価格をもって相続税の申告を行う事になります。
海外の生命保険
平成19年の税制改正が行われるまでは、海外の生命保険は、相続財産ではなく、相続人の一時所得となっていました。しかし、改正後は日本の生命保険と同様にみなし相続財産として課税されます。