生命保険信託とは、生命保険金の受け取る権利を対象とした信託のことをいいます。
この信託により、信託財産の受託者から受益者に対して保険金が支払われると、この保険金には相続税が課税されます。このことは相続税基本通達により規定されていますが、以下では、それらについて解説します。
生命保険信託の相続税評価
生命保険信託により、被保険者の死亡により、信託財産である生命保険から遺族等が保険金を受け取った場合には、通常の生命保険契約に基づく保険金の受取りと同じように、保険料の負担者が誰であるかによって相続税又は贈与税が課税されます。
そして、その場合の生命保険信託の相続税財産評価は、保険金の価額のうち、被保険者の死亡時点までに払い込まれた保険料の全額に対する被相続人又は第三者が負担した保険料の割合に相当する部分の価額となります。
生命保険信託とは
生命保険信託とは、委託者が、生命保険証書を受託者に預け、生命保険債権の管理を受託者に委ねます。そして、保険事故が発生した場合に、受託者が、委託者が信託契約において指定した受託者に対して、保険金を支払うという契約のことを言います。
委託者に保険事故(委託者が死亡等)が発生した場合、一般的には、受託者が保険金を受益者に支払いますが、受益者の生活費や学資に充てるため、毎月一定額を受益者に支払うというような場合もあります。生命保険信託を利用することで、保険金受取人の乱費を防ぐことができます。
相続税基本通達9の2-7「生命保険信託」について
相続税基本通達9の2-7では、生命保険信託に関する権利については、生命保険契約に関する規定が適用されるので、注意するようにとの定めがおかれています。ここで、生命保険契約に関する規定とは、相続税法第3条及び第5条が該当します。
相続税法第3条について
相続税法第3条では、被相続人が保険料等を負担していた生命保険契約に基づき、相続人や第三者が保険金を受け取った場合には、相続又は遺贈により取得した財産として、相続税の課税対象となるということ等が規定されています。
また、その場合の生命保険金の相続税財産評価は、生命保険金の価額のうち、被相続人の死亡時点までに払い込まれた保険料の総額に対する被相続人が払い込んだ保険料の金額の
割合に相当する価額とされます。
相続税法第5条について
相続税法第5条では、被相続人以外の第三者が保険料金等を負担した生命保険契約により、被相続人の死亡により相続人等が保険金を受け取った場合、その保険金は、第三者から保険金受取人に対して贈与されたものと見做し、贈与税の課税対象となるなどと規定しています。
また、その場合の生命保険金の贈与税財産評価は、生命保険金の価額のうち、被相続人の死亡時点までに払い込まれた保険料の総額に対する第三者が払い込んだ保険料の金額の
割合に相当する価額とされます。
保険料を負担しないで受け取った保険金は課税対象となる
つまり、生命保険信託によって、受託者から受益者に対して保険金の支払いがあった場合には、信託財産である権利の発生原因である生命保険契約の保険料等を誰が負担したかに応じて、相続税又は贈与税が課税されます。
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