財産を町内会へ寄附しようした場合、その寄附によって町内会に納税義務が課せられるかどうかを考えましょう。
町内会に納税義務が課せられるかどうかについては、町内会が相続税の非課税対象になっているかを調べる必要がありますので、相続税の非課税対象について規定されている相続税法第12条を確認しなければいけません。
詳しく解説していきます。
1.相続税法第12条3項
相続税第12条には大きく6つの相続税非課税となる対象が規定されています。
1.皇位とともに皇太子が受けたもの
2.墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの
3.公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
4.障害のある者に関して実施する共済制度で支給される給付金を受ける権利
5.生命保険金のうちの、相続人の人数×500万円
6.退職手当金等のうちの、相続人の人数×500万円
この中で町内会が該当すると思われるものは、第3項「公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」でしょう。では、実際に町内会へ寄附する財産がこの項目に当てはまるかを確認していきます。
(1)公益を目的とする事業
町内会は第12条第3項の「公益を目的とする事業」に該当するでしょうか?
「公益を目的とする事業」というのは、具体的に挙げると、以下のものや以下のものを助成する事業が該当します。
・更生保護や育英事業などの社会福祉
・科学技術や宗教の発展に寄与する事業
・図書館や学校教育、保健衛生などの教育関連施設
・公園その他の公共の施設
この中で、町内会が該当するとすれば、1つめの社会福祉くらいが妥当かもしれません。
(2)事業規模
相続税法第12条第3項に定められている事業や施設については、「社会的に認識されている規模が必要で、事業を行う財産、施設を有していること」という規模の要件があります。
町内会の大きさは様々ですので、一概には言えませんが、「特定の地域」といった規模であることは間違いありませんので、「社会的に認識されている」という部分は厳しいでしょう(社会に知れ渡っている町内会は極めてまれです)。
(3)公益の対価
最後に、これらの事業や施設が営利目的であれば、相続税非課税の対象からは外れます。
相続税法第12条第3項に挙げられている各事業や施設は、原則無料で提供され、維持費などが必要であっても最小限の負担でなければいけません(利益を得るための負担であってはならない)。
基本的に、町内会はその地域の利益のために存在しています。そのため、営利目的の組織ではないことを、税務署に認めてもらうことは難しいでしょう。
町内会についてこれら3点を鑑みると、公共性はありますが一定地域の狭い範囲のものになっており、かつその地域の利益のために活動している側面が強いものです。そのため、町内会が相続税の非課税対象に該当することはないでしょう。
以上のように、相続税非課税になるためには「公共性」「社会的に認知されている規模」「無償」である必要があります。財産を寄附する場合には、これらの点に注意しておきましょう。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。