保険金受取人の実質判定
相続税・贈与税では、相続人や名義上の保険金受取人などの関係人の間で合意があるならば、保険契約上の保険金受取人でなくても、実質的な保険金受取人を保険契約上の保険金受取人とする、という取り扱いをしています。
生命保険料負担者の判定
保険料の支払能力のない子供などが保険契約者となっている場合にはその保険料を実際に支払っている親等が、生命保険料の負担者となります。 (しかし、この場合であっても親等が子供等に現金を贈与し、子供等がその現金を保険料の支払いに充てていることが証明できるときは、その子供等が生命保険料の負担者となります。)
また、契約者(保険料負担者)、被保険者、保険料受取人がそれぞれ異なるケースでは、保険料負担者が保険金受取人に贈与したものとみなされて、贈与税が課せられることになりますので注意が必要です。
相続税法では、実際にその生命保険契約等の保険料相当額を負担した方が、生命保険契約上の実質的な財産の保有者と考えています。
したがって、生命保険契約者と保険料の負担者とが異なっても、保険料の負担の段階では贈与税の課税対象とはせず、
①その生命保険料の負担者が亡くなってしまったケース
②その生命保険契約に関係している保険事故が発生し、保険金を得たケース
③その保険契約にかかる返還金を得たケース
これらの課税関係の事実が起きた時点で、過去の保険料の負担関係については、相続税または贈与税の課税対象を判定することになっています。
また注意が必要なのは契約者を代えただけでは贈与税は課税されません。
しかし、その生命保険契約の保険金や解約返戻金、または満期金が入金されたケースでは、その受取人に課税がされます。
このケースでは基本的には、保険料負担者から保険金受取人に贈与税が課税されますが、保険料負担者が死亡し、死亡保険金が支払われたケースでは、この死亡保険金は、みなし相続財産となり保険金受取人に対して、相続税が課税されます。
【相続税基本通達】 (保険金等関係)
(保険金受取人の実質判定)
3-12 保険契約上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合において、保険金受取人の変更の手続がなされていなかったことにつきやむを得ない事情があると認められる場合など、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得することについて相当な理由があると認められるときは、3-11にかかわらず、その者を法第3条第1項第1号に規定する保険金受取人とするものとする。(昭57直資2-177追加)