相続税法基本通達における年金により支払を受ける保険金

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相続される財産の中には、被相続人の生命保険の請求権も含まれています。そして、この生命保険の保険金の受け取り方については、一時金の形式で受け取る場合のほか、年金形式で受け取ることも可能な商品が存在しています。また、同様に相続される財産には、個人年金、養育年金の受給権も含まれています。これら年金形式で受け取る相続財産については、相続税が課せられるだけではなく所得税も課せられます。

これら、年金の形式で受け取る保険金などについての相続税と所得税について、解説していきましょう。

相続税法基本通達における年金により支払いを受ける保険金

相続税法基本通達第3条の6には、相続によって取得したとみなされる保険金については、一時金の形式で支払いを受けるものだけではなく、年金の形式で受け取る形のものも含まれるということが明記されています。(当然ですが)年金形式で受け取る保険金についても相続税の課税対象となるわけです。また、年金の形式で保険金を受け取る場合は、受け取る年金の一部が「雑所得」として扱われ、所得税の課税対象にもなる点に注意が必要です。

年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金

年金の一部が雑所得として扱われることで所得税の納付が必要な方は、以下の年金を受け取っている方になります。

・死亡保険金を年金形式で受け取っている方
・学資保険の保険契約者が死亡したため、養育年金(育英年金)を受け取っている方
・個人年金保険契約に基づく年金を受け取っている方

保険金に課税される税金

上に挙げた年金を受け取っている方には、必ず相続税と所得税がかかるわけではありません。死亡保険金を受け取る場合、そもそも、保険金を負担する人(契約者)と保険に加入する人(被保険者)、そして保険金を受け取る人(受取人)の関係によって、取得した保険金に課せられる税金が変わってくるのです。

契約者と被保険者が同じ ……………… 相続税
契約者と受取人が同じ ………………… 所得税
契約者と被保険者、受取人が違う …… 贈与税

一般的に、相続税が最も控除額が大きく、結果的に税金を節約できるため、相続税がかかるような保険金取得の方法を選ぶこと多いでしょう。そのため、保険金を年金の形式で受け取る場合、相続税と所得税がかかってくるのです。

年金の形式で受け取る保険金の雑所得額

では、年金の形式で受け取る保険金については、どれくらい所得税がかかるのでしょうか。相続税法第24条に従うと、初年度は非課税、2年目から課税されます。その後、所得税の課税対象となる雑所得が「段階的に増えていく」仕組みがとられています。「段階的」というのは、「課税単位」と呼ばれる雑所得の金額のベースとなる単位が、初年度はなし、2年目は1つ、3年目は2つと増えていくような形です(課税単位は、年金の1年あたりの平均金額を受取期間-1で割った金額です)。

具体的に説明しましょう。

死亡保険金の3,600万円を、年金受取期間10年で受け取ることになった場合の課税単位は以下のようになります。

課税単位=年金の平均受取金額(3,600万円÷10年)÷(年金受取期間(10年)-1)
=360÷9
=40万円

つまり、初年度は雑所得なしですが、2年目は受け取った年金のうち、40万円が雑所得と扱われ、所得税の対象となります。同様に2年目は80万、3年目は120万円、と最後の年(10年目)は320万円が雑所得として扱われることになります。

【参考】
国税庁 タックスアンサー No.1620 相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係
国税庁 タックスアンサー No.1615 遺族の方が支払を受ける個人年金
国税庁 その他法令解釈に関する情報 【第24条((定期金に関する評価))関係】
国税庁 タックスアンサー No.1750 死亡保険金を受け取ったとき


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