宅地を路線価方式で評価するときは、宅地に接する道路に定められた路線価をもとに評価します。ただし、宅地が道路に接している状態(接道状況)や宅地の形状によって、路線価に対して画地調整が行われます。
宅地の接道状況や形状が価格に及ぼす影響は、宅地の利用状況によって異なります。財産評価基本通達では、宅地の利用状況がおおむね同じである地域ごとに7つの地区を定め、それぞれの地区について画地調整率を定めています。ここでは、相続税評価における地区について説明します。
1.地区の一覧
地区の区分は次の7つです。路線価図では、路線価の値を囲む図形によって識別することができます。
(1)ビル街地区
大都市の商業地域内にあって、高層の大型ビルが街区を形成し、かつ、敷地規模が大きい地区をいいます。路線価図では横長の六角形で表わされます。
(2)高度商業地区
大都市の都心、副都心または地方中核都市の都心の商業地域内で中高層の店舗や事務所が立ち並ぶ地区をいいます。路線価図では横長の楕円形で表わされます。
(3)繁華街地区
大都市または地方中核都市にある次のような地区をいいます。比較的狭い道路に中小規模の建物が立ち並ぶ点で、高度商業地区とは異なります。
・各種店舗等が立ち並ぶ著名な商業地
・飲食店やレジャー施設等が多い歓楽街
路線価図では八角形で表わされます。
(4)普通商業・併用住宅地区
普通商業地区は、商業地域や近隣商業地域等にあって、中低層の店舗、事務所が立ち並ぶ地区をいいます。併用住宅地区は、商業地区の周辺や住居地域等にあって、住宅が混在する小規模の店舗や事務所等、低層の建物が多い地区をいいます。路線価図では正円で表わされます。
(5)普通住宅地区
主に住居系の用途地域内で居住用建物が連続している地区をいいます。路線価図の図形の表示はありません。
(6)中小工場地区
工業系の用途地域内にあって敷地規模が9,000平方メートル程度までの工場、倉庫等が集中している地区をいいます。路線価図では横長のひし形で表わされます。
(7)大工場地区
工業系の用途地域内にある次のような地区をいいます。
・敷地規模がおおむね9,000平方メートルを超える工場、倉庫等が集中している地区
・単独で30,000平方メートル以上の敷地規模のある画地によって形成される地区
用途地域が定められていない地区であっても、工業団地、流通業務団地等において1画地の平均規模が9,000平方メートル以上の団地も大工場地区に該当します。路線価図では横長の長方形で表わされます。
【財産評価基本通達 2-2-14-2】(地区)
路線価方式により評価する地域(以下「路線価地域」という。)については、宅地の利用状況がおおむね同一と認められる一定の地域ごとに、国税局長が次に掲げる地区を定めるものとする。
(1)ビル街地区
(2)高度商業地区
(3)繁華街地区
(4)普通商業・併用住宅地区
(5)普通住宅地区
(6)中小工場地区
(7)大工場地区