山林を相続する場合の相続税評価の計算では、「実際の地積(土地の面積)」を用いることとされています。しかしながら市街地などの整備された土地に比べ、山林の実際の地積を調べることは、多額の費用がかかるなどの理由で困難なことが多いようです。それでは山林を相続する場合、地積についてはどうしたら良いのでしょうか。
現在こういった場合には慣例として、台帳と実際の地積に大幅な差異がなければ、実測を行わなくても良いことになっています。
歴史的、実務的な背景を持ってこのような指針がとられている理由を、ここで簡単に解説していきましょう。とくに山林の相続における地積について疑問を持っている方は、一読されることをおすすめします。
山林の地積について
国税庁は、土地の地積についての照会に回答するかたちで、この問題に関する見解を示しています。ここではその内容を分かりやすく解説してみましょう。現在山林の相続をしている、もしくは将来的に相続が考えられる方は一度ご覧になってはいかがでしょうか。
(1)実際の地積は必ずしも調査しなくても良い
法律で山林(土地)の地積を「実際の地積」と規定しているのは、台帳に記載されている面積と実際の地積が異なる場合には、実際の地積を採用するという基本的な指針を示したものであり、山林を相続する場合、例外なく実測をしなければならないということではないようです。
(2)山林の地積が不明な理由
山林はすでに実測済みの土地もあればそうでないものもあります。相続するまで実際の山林の面積を知らないということも少なからずあるでしょう。
これは、前述のように費用や実測の困難さに寄るところが大きくありますし、さらに過去において計測する技術が未発達であったために、公簿面積が正確に実測されていないという状況も考えられます。
(3)実務上の地積の扱い
実務上の山林の面積はどのように考えられているかというと、立木類の調査、航空写真などによる地積の測定、その地域における平均的な山林の評価額との比較、類推などによって、地積を把握するとなっています。
(4)実測しなければならない場合
ではすべての場合において実測する必要がないかというとそうではなく、台帳に記載された地積が、他の山林の評価と著しく異なる場合には実測を行うことになります。
なお「著しく」については、どれだけ差があれば「著しい」と判断されるか具体的に示されていないので、その時々において協議する必要がありそうです。この点は注意しておいたほうがいいかもしれません。