相続税評価を行う上での借地権の及ぶ範囲

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借地借家法第二条1号において借地権とは「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。」と定められています。
具体的には「土地の上に建物を所有することを目的に土地を借りる際に発生する、借り手側の権利」のことを指します。

借地権の及ぶ範囲

借地借家法から解釈すると、借地権が及ぶ範囲は「建物の所有を目的とする」という点から、建物の敷地とその建物に附属する周囲の部分と判断できます。
しかしながら現在では、例えば借地の上に建物とその建物を利用する上での駐車場用地とを建設して、両者を一体として運用している例も数多く見られます。このような現状から、国税庁では税法上で借地権が及ぶ範囲についての指針を明確にしています。
借地権の及ぶ範囲とは、単に「建物の敷地に該当する部分と附属する周囲の部分」と一律に決めることを行っていません。
その借用契約の内容に基づき、借地権の及ぶ範囲を個々に判断するのが現在の実状にあった合理的な方法という指針を出しています。
従って、相続等で税が発生した時点での借地権の及ぶ範囲は、その土地の賃借契約の内容に基づいて、例の場合であれば「一体として運用している建物と駐車場を、借地権の及ぶ範囲とみなすかどうか」について、個々に判断するのが妥当と考えられています。
尚、借地が一体として運営されていても、その借地が「公道などの不特定多数の者が通行する道路や河川などで物理的に分かれている」場合は、従来の国税庁の指針どおり「分離されたそれぞれの土地に存在する権利を別々に評価する」必要があります。

【財産評価総則基本通達第2章27】(借地権の評価)
27 借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、当該価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合(以下「借地権割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める割合を乗じて計算した金額によって評価する。ただし、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。(昭41直資3-19・平3課評2-4外改正)


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