類似業種比準価額で述べた、評価会社の1株あたりの配当金額・1株あたりの利益金額・1株あたりの純資産価格の金額はそれぞれ、算出方式が定められています。
1株あたりの配当金額の計算方式
直前末期以前2年間における余剰金の配当金額の合計額2分の1の相当する金額を直前の期末の発行済み株式数で除して計算します。ただし、配当金額は特別配当・記念配当などで将来継続予想ができないものは含まれません。
また、直前期末における発行済株式数の1株あたりの資本金等が50円以外の金額の場合にも50円で除した計算式が適用となります。
余剰金の配当金額は各事業年度中に配当金効力の生じた余剰金の配当金額をもとにして計算することに注意が必要です。
また、資本金等の金額が減少した場合は除きます。また、積み立て金額の利益に相当する金額が-(マイナス)の場合は相当する金額を資本金等の額から控除されます。その控除後の金額が-(マイナス)となる場合には控除後の金額は0となりますので、こらも注意点のひとつです。
1株あたりの利益金額
こちらは直前期末以前の1年間における法人税の課税所得金額に余剰金の配当+損金に算出された繰越欠損金の控除額加算を直前期末発行株式数で除した金額となります。こちらも納税義務者の選択で計算方式を変更することもできます。
1株あたりの純資産価格
直前期末の資本金等の額・法人税利益積立金額・差し引き翌期首現在利益積立金の差し引き合計額などを発行株式数で除する計算方式です。
【財産評価基本通達】(類似業種)
(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)
183 180≪類似業種比準価額≫の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、それぞれ次による。(昭44直資3-20・昭53直評5外・昭58直評5外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)
(1) 「1株当たりの配当金額」は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額(特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。)の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。(2)及び(3)において同じ。)で除して計算した金額とする。
(2) 「1株当たりの利益金額」は、直前期末以前1年間における法人税の課税所得金額(固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。)に、その所得の計算上益金に算入されなかった剰余金の配当(資本金等の額の減少によるものを除く。)等の金額(所得税額に相当する金額を除く。)及び損金に算入された繰越欠損金の控除額を加算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)を、直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。ただし、納税義務者の選択により、直前期末以前2年間の各事業年度について、それぞれ法人税の課税所得金額を基とし上記に準じて計算した金額の合計額(その合計額が負数のときは、0とする。)の2分の1に相当する金額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。
(3) 「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は、直前期末における資本金等の額及び法人税法第2条((定義))第18号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額)の合計額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。
(注)
1 上記(1)の「剰余金の配当金額」は、各事業年度中に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額(資本金等の額の減少によるものを除く。)を基として計算することに留意する。
2 利益積立金額に相当する金額が負数である場合には、その負数に相当する金額を資本金等の額から控除するものとし、その控除後の金額が負数となる場合には、その控除後の金額を0とするのであるから留意する。
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