議決権を有しないこととされる株式(持合株式)がある場合の議決権総数等

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取引関係が親密な会社同士が相互に株式を持ち合うことは、会社の規模を問わず多くみられます。株式の持ち合いは、事業を円滑に進めるためには有用であるものの、経営のもたれ合いを招くという弊害もあります。そのため、株式を持ち合っていて、自社が議決権を25%保有する会社が自社の株主となっている場合は、会社法308条第1項の規定により、その会社が保有する株式は議決権がないものとされます。

財産評価基本通達では、取引相場のない株式を同族株主でない株主が保有している場合、その株式は配当還元価額で評価すると定められています。同族株主であるか否かは、主に議決権割合に基づいて判定しますが、ここでは、評価する会社に会社法の規定により議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権割合の算定方法について説明します。

1.同族株主以外の株主等が取得した株式

評価する会社に会社法の規定により議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権割合の算定方法を説明する前に、どのような場合に、同族株主以外の株主等が取得した株式と認められるかについて確認します。

(1) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主が取得したもの

(2) 中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、株式取得後の議決権割合が5%未満である者が取得した株式
ただし、課税時期においてその会社の役員である者や法定申告期限までの間に役員となる者が取得した株式は除きます。

(3) 同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人およびその同族関係者の議決権割合の合計数が15%未満となる場合におけるその株主が取得した株式

(4) 同族株主のいない会社であって、中心的な株主がいる会社の株主のうち、課税時期において株主の1人およびその同族関係者の議決権割合の合計数が15%以上である場合におけるその株主で、株式取得後の議決権割合が5%未満である者が取得した株式
ただし、課税時期においてその会社の役員である者や法定申告期限までの間に役員となる者が取得した株式は除きます。

2.評価会社に議決権を有しないこととされる株式がある場合

冒頭で述べたとおり、株式を持ち合っていて、自社が議決権を25%保有する会社が自社の株主となっている場合は、その会社が保有する株式は議決権がないものとされます。財産評価基本通達188-4では、株主の中に議決権がない株式を保有する会社がある場合、議決権割合の計算にあたって、その会社が保有する議決権の数は0とすることとされています。

【財産評価基本通達】(同族株主以外の株主等)
(議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権総数等)
188-4 188((同族株主以外の株主等が取得した株式))の(1)から(4)までにおいて、評価会社の株主のうちに会社法第308条第1項の規定により評価会社の株式につき議決権を有しないこととされる会社があるときは、当該会社の有する評価会社の議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意する。(昭58直評5外追加、平3直評4外・平12課評2-4外・平15課評2-15外・平18課評2-27外改正)

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