貸家の相続税評価

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貸家とは、財産評価総則基本通達上では「財産評価総則基本通達第2章26:貸家建付地の評価」に記載してあるとおり「借家権の目的となっている家屋」のことを指し、具体的には「その建物を自身が保有していて、その上で他人に対価を受け取って貸し出す権利を持つ家屋」のことを指します。一般の賃貸住宅のみならず、貸しオフィス、貸し倉庫、もしくは設備を他の事業主に貸して事業を行わせる建造物などを含めて貸家と称します。

貸家の評価

税制上で貸家を評価する場合、最初に「財産評価総則基本通達第3章89:家屋の評価」か、もしくはその貸家が文化財建造物であった場合には「財産評価総則基本通達第3章89-2:文化財建造物である家屋の評価」、もしくは「財産評価総則基本通達第3章92:附属設備等の評価」によって評価した、その貸家の「貸家である家屋自体の評価価額」を算出します。
次に、控除分を計算します。控除分は「財産評価総則基本通達第3章94:借家権の評価」にて規定される「借地権割合」と、「財産評価総則基本通達第2章26:貸家建付地の評価の(2)」にて規定される「賃貸割合」を準備します。その上で「貸家である家屋自体の評価価額」に「借地割合」と「賃貸割合」の両方を掛け算して、計算結果の金額を「貸家の評価における控除額」とします。
このようにして算出した「貸家の評価における控除額」を「貸家である家屋自体の評価価額」から控除し、残った金額を相続税等の税制上での「貸家の評価価額」とします。

【財産評価総則基本通達第3章93】(貸家の評価)
貸家の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。(昭41直資3-19・平11課評2-12外・平16課評2-7外改正)

【財産評価総則基本通達第3章89】(家屋の評価)
家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額(地方税法第381条((固定資産課税台帳の登録事項))の規定により家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下この章において同じ。)に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平16課評2-7外改正)

【財産評価総則基本通達第3章89-2】(文化財建造物である家屋の評価)
文化財建造物である家屋の価額は、それが文化財建造物でないものとした場合の価額から、その価額に24-8((文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価))に定める割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。
 なお、文化財建造物でないものとした場合の価額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額によるものとする。(平16課評2-7外追加、平20課評2-5外改正)
(1) 文化財建造物である家屋に固定資産税評価額が付されている場合
その文化財建造物の固定資産税評価額を基として前項の定めにより評価した金額
(2) 文化財建造物である家屋に固定資産税評価額が付されていない場合
その文化財建造物の再建築価額(課税時期においてその財産を新たに建築又は設備するために要する費用の額の合計額をいう。以下同じ。)から、経過年数に応ずる減価の額を控除した価額の100分の70に相当する金額
(注) 「経過年数に応ずる減価の額」は、再建築価額から当該価額に0.1を乗じて計算した金額を控除した価額に、その文化財建造物の残存年数(建築の時から朽廃の時までの期間に相当する年数)のうちに占める経過年数(建築の時から課税時期までの期間に相当する年数(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。))の割合を乗じて計算することに留意する。

【財産評価総則基本通達第2章26】(貸家建付地の評価)
貸家(94≪借家権の評価≫に定める借家権の目的となっている家屋をいう。以下同じ。)の敷地の用に供されている宅地(以下「貸家建付地」という。)の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。(平3課評2-4外・平11課評2-12外改正)

 この算式における「借地権割合」及び「賃貸割合」 は、それぞれ次による。
(1) 「借地権割合」は、27≪借地権の評価≫の定めによるその宅地に係る借地権割合(同項のただし書に定める地域にある宅地については100分の20とする。次項において同じ。)による。
(2) 「賃貸割合」は、その貸家に係る各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分をいう。以下同じ。)がある場合に、その各独立部分の賃貸の状況に基づいて、次の算式により計算した割合による。

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