退職手当金等の支給を受けた者の相続税法上の取り扱い

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被相続人が受け取るはずだった退職手当金や死亡後3年以内に被相続人に支給されることが決まったものなどについては、相続財産と見なされ、それを受け取った人に相続税がかけられます。ただし、受け取った全額に課税されるわけではなく、相続人の数や受け取った人などによって課税対象額は違ってきますので、条件を整理して計算する必要があります。

ここでは、そんな退職手当金等の支給を受けた(相続した)人の税制法上の定義と、相続税の課税対象額の算出方法について解説します。

1.退職手当金等と退職手当金等の支給を受けた者

まずは、「退職手当金等」と「退職手当金等の支給を受けた者」について、相続税法基本通達でどう定義されているのか、確認しておきましょう。この点をはっきりと理解しておかなければ、課税対象額の算出はできません。

(1)退職手当金等とは

相続税法基本通達第3条18と19にて、退職金等の取り扱いと判定方法が規定されています。

「退職手当金等」というのは、名義にかかわらず、実質的に退職手当金等として、被相続人へ支払われる金品のことです。そのため、お金だけではなく、現物支給されるものも含まれます。なお、退職手当金等というのは、退職手当規定などに定められているならそれに準じたものが当てはまり、もしそれらの規定がなくても、被相続人の地位や功労などが、類似する業種で同様の地位や功労の人が受けるものと比較して妥当と思われるものが当てはまります。ただし、遺族補償や葬祭補償、弔慰金、遺族見舞金などは退職手当金等には含まれません。

つまり、常識的に考えて退職手当だろうと思われるものは、おおむね当てはまることになるでしょう。また、被相続人死亡時には確定していなくでも、死亡後の3年以内に支給が確定したものについても、退職手当金等に当てはまるものは対象となります。

(2)退職手当金等の支給を受けた者

「退職手当金等の支給を受けた者」については、相続税法基本通達第3条の25に規定されています。それは以下に該当する人です。

1.退職給与規定やそれに準じるものに受取人が定められている場合は、その受取人
2.退職給与規定にない、もしくは該当しない場合は、相続税の申告や更生、決定するまでに実際に受け取った人
3.退職給与規定にない、もしくは該当しない場合は、相続人全員の協議で定められた受取人
4.上記すべてが該当しない場合は、被相続人の相続人全員で各人均等に分配されたものとします。

2.退職手当金等の課税対象額の算出方法

退職手当金等の相続税については、非課税限度額が決まっていますので、その金額を差し引いた金額が相続税の課税対象額となります。つまり、すべての相続人が受け取った退職手当金等の合計金額が、この非課税限度額以下であれば、相続税はかからないわけです。

非課税限度額の算出方法は以下です。

500万円×法定相続人の数

※法定相続人の数には、相続を放棄した人も含めます。
※養子については、法定相続人の中に実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで法定相続人含めることができます。

なお、退職手当金等を受け取ったのが相続人以外だった場合、受け取った全額が相続税の課税対象となります。

【参考】
国税庁 相続税法基本通達 〔退職手当金関係〕
国税庁 タックスアンサー No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金

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