会社が解散してその役割を終えたときは、財産を処分し、債務を弁済し、残った財産を株主に分配します。これらの手続きを清算といいます。ここでは、相続財産に清算中の会社の株式が含まれている場合の評価方法について説明します。一般的な場合と分配を行わず長期にわたり清算が続いている場合では評価方法が異なります。
~目次~
1.会社清算の手続き
会社を清算するときは次のような手続きを行います。清算が終わるまでは最短でも2か月あまり、財産の処分や債務の整理に手間取ると年単位の期間を要することもあります。
(1) 株主総会で解散の特別決議、清算人の選任決議
株式会社が解散すると営業活動はできなくなり、清算人のもとで清算実務が行われます。
(2) 解散登記、清算人就任登記
解散の決定から2週間以内に解散登記をしなければなりません。同時に、清算人就任の登記も行います。
(3) 財産目録、貸借対照表の作成
清算人が会社の財産の現況を調べて、財産目録と貸借対照表を作成します。その後、株主総会で承認を得ます。
(4) 債権者に対する公告、債権者に対する個別催告
会社が解散したことを官報で公告します。債権者がわかっている場合は個別に催告します。会社の債務を弁済するために債権者に申し出てもらうことが目的です。
(5) 債務の弁済
会社に債務がある場合は、公告ののち債務を弁済します。
(6) 残余財産の分配
会社の財産を処分し、債務の弁済が終了したのちに財産が残っている場合は、財産を株主に分配します。
(7) 清算結了登記
すべての清算手続きが終了したら、清算人は清算に関する決算報告書を作成し、株主総会で承認を得ます。承認から2週間以内に清算結了の登記を行います。この時点で会社の法人格は消滅します。
2.清算中の会社の株式の評価方法
清算中の会社の株式は、財産評価基本通達189-6(清算中の会社の株式の評価)の定めにより、清算の結果分配を受ける見込みの金額を、課税時期から分配を受けられるまでの期間に応じた基準年利率で現在の価値に割り引いた額で評価することとされています。つまり、分配金の見込み額から、受け取る日までの金利に相当する部分を差し引くという考え方です。
3.長期間清算中の会社の株式の評価方法
分配を行わず長期にわたり清算中のままになっている会社の株式は、清算の結果分配を受けられる見込みの金額や、分配を受けられるまでの期間の算定が困難であるため、前記の方法で評価することはできません。したがって、その会社の1株当たりの純資産価額で評価することになります。この場合の純資産価額は、相続税評価額によって計算した金額です。