被相続人から相続した相続財産に土地が含まれる場合、その土地が騒音などのために環境が悪い、高圧線の下にある、土壌が汚染されているなどの特殊事情がある場合には、相続税評価の際に、その分を減額できる場合があります。以下では、そういった特殊事情による相続税評価減額について解説します。
騒音・土壌汚染等による相続税評価減について
平成27年4月1日現在の法令によると、宅地に関しては、騒音、悪臭、日照障害、忌み(墓地が近くにある)等により、その利用価値が著しく低下していると認められる場合には、
相続財産の評価の際に、宅地全体の通常の相続税評価額から、利用価値が制限されている部分の宅地の通常の評価額に10%を乗じた価額を減じることができると規定しています。
例えば、1,000㎡の土地を宅地を相続した場合で、そのうちの500㎡について騒音、悪臭、土壌汚染などのために利用価値が著しく低下していると認められる場合には、この宅地の相続財産評価は、その宅地の通常の評価額が1,000円/㎡とすると、1,000㎡×1,000円
-(500㎡×1,000円×10%)=950,000円(評価減がない場合は1,000,000円)となります。
なお、農地や山林についても、相続財産の評価の際に、宅地としての評価額から農地等から宅地に転用した場合の造成費等を控除して評価額を算定している場合には、その土地に
騒音や悪臭等があれば、上記方法による10%の評価減が認められます。
注意点としては、「周囲の宅地と比べて、対象地のみが著しく評価減の影響を受けるような環境下にあるか否か?」という点になります。
高圧線による相続税評価減について
宅地上を高圧線が通っていて一定の要件に該当する場合にはその宅地の相続財産の評価の際に、30%以上の宅地評価の減額を受けることができる場合があります。ここでの一定の要件とは、以下の2点です。
・高圧線のために対象となる土地に地役権が設定されていること
・高圧線のために宅地に建物の建築不可、又は建築可能建物に制限がかかること
高圧線により建物が建築できない場合の相続税評価について
相続した宅地に高圧線設置のための地役権が設定されており、その為に、その宅地に建物を建てることができない場合には、その宅地の相続税評価額は、宅地全体の通常の相続税評価額から、地役権により建物の建築ができない部分の宅地の通常の相続税評価額に50%を乗じた金額等を控除して、算定されます。
高圧線により建物の建築に制限がかかる場合の相続税評価について
一方、相続した宅地に高圧線設置のための地役権が設定されており、その為に、その宅地に建てることができる建物の構造や用途に制限を受ける場合には、その宅地の相続税評価額は、宅地全体の通常の相続税評価額から、地役権により建物の建築に制限を受ける部分の宅地の通常の相続税評価額に30%を乗じた金額を控除して、算定されます。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。