土地の評価では、原則、地目に応じて宅地、畑、山林、雑種地など、区分して評価します。しかし、一筆の土地の中に、宅地、畑、雑種地などが混在する場合には、評価単位はどのように分けるべきでしょうか。今回は、雑種地の評価単位における原則及び例外について事例を紹介しながら解説します。
1.【原則】雑種地の評価単位は利用単位(同一目的)ごと
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!1-1.雑種地とは
土地の登記の「地目」は、土地の利用状況により区分したものです。家が建っている土地ならば「宅地」、農耕地で耕作する土地ならば「田」や「畑」というように22種類の地目があります。雑種地とは、これらの22種類のどの地目にもあてはめることのできない土地のことです。つまり、「宅地」、「田」、「畑」などが雑種地になることはないわけです。
では、どのような土地が雑種地という地目になるのでしょうか。
駐車場、ゴルフ場、野球場などがその典型的な例といえます。ただし、店舗の駐車場のように、建物の利用が主で、駐車場が付随的なものの場合には、土地全体を「宅地」として扱う場合もあります。
1-2.雑種地の評価単位は
雑種地の評価単位は、国税庁HPの「財産評価」第2章の通則に記載されているように、利用の単位(同一の目的)ごとを評価単位とします。たとえば、ゴルフ場のように、敷地内にクラブハウスなどの建物がある場合、ゴルフ場が主であり、建物が付随的であるため、全体をひとかたまりで「雑種地」として扱います。ゴルフ場の主な目的はクラブハウスの利用ではなく、ゴルフをする土地ですから、地目に「ゴルフ場」がないため、雑種地に該当するわけです。そのほかにも「雑種地」の例はいろいろあります。
雑種地は、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地をいう。)を評価単位とする。
ただし、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、82≪雑種地の評価≫の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地が2以上の評価単位により一団となっており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の雑種地ごとに評価する。
では、利用単位が異なるけれど、一団の雑種地としての評価が合理的と認められるのは、どのような場合でしょうか。次の項で解説します。
2.【例外】利用単位が異なるが一体評価する場合(一団の雑種地)
国税庁HPに記載されている質疑応答の要旨から事例を抜粋してご紹介します。事例1~事例2の場合、利用単位ごとではなく、全体を一団として一体評価する方が合理的と認められます。事例ごとに、なぜ一団としての評価が合理的であるのかについてみていきましょう。
2-1.事例1
まず前提として、上図で、“宅地”と書かれた部分を平均的な宅地規模と考えます。
平均的な宅地規模から考えると、Aの雑種地の地積が小さいことから、形状では、Bの農地は単独の評価よりもAの雑種地と合わせて評価する方が妥当と認められます。道路に面していないCの土地は、位置を考えた場合、単独での評価は妥当といえません。従って、ABCの土地全体を一体評価する方法が合理的といえます。
2-2.事例2
上記の例のようにそれぞれの地積が小さすぎる場合も、一体評価が望ましいです。