「利用価値が著しく低下している宅地の評価」として、騒音によりその取引金額に影響を受けると認められているものについては、宅地の評価額を通常の相続税評価額よりも10%減できるということが国税庁のタックスアンサーにあります。
ただ、どの程度の騒音であれば、10%評価減してもよいのかというところが気になりますが、これは明確な基準が定められておりません。
ただ、過去の裁決事例において、一応の目安というものが実務上の指針になっています。
・騒音が60デシベルを超えていること
これは、環境省が定める騒音対策における指針である60デシベルを目安とするものです。
1.評価減できるのは宅地全体ではなく騒音の影響が及ぶ範囲
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!過去の裁決事例においては、騒音が60デシベルを超えるのは対象地の中で騒音の発生源から20m以内の部分だけであるとされ、同様の敷地内でも20mよりも離れている部分は10%評価減が認められなかった事例があります。
つまり、敷地の中で騒音の発生源から一番近いところでは騒音が60デシベルを超えるが、一番遠いところでは超えないといったことがないかどうかをきちんと調査する必要があるということです。
2.取引価格や路線価への織り込み済についての調査が必要
注意すべき点は、騒音が60デシベルを超えていても、仮に既にその影響が路線価に織り込み済の場合には10%評価減ができないという点です。
また、実際の取引価格において価値が著しく低下していると認められない場合、つまり、騒音が理由で付近の土地よりも取引価格が下がっているかどうかということも検討する必要があります。