株も相続財産に含まれますが、上場していない非上場株式会社の場合は株の価値が市場で決まっていません。こうした場合には会社の純資産を基準に株の価値を算出します。この際には会社の土地建物も資産として計上されますが、土地建物の価値は評価方式によって価格に差が出ます。今回はこれについてご説明しましょう。
~目次~
1.土地建物を相続開始前3年内に取得した場合は通常の取引価額になってしまう
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!1-1.非上場株式会社の株の価値を算出する方法
市場で取引されていない非上場会社の株式は上場会社の株式と違って市場価格を参考に価値を算出できません。このため、相続の際に相続財産として株の価値を算出する際には、非上場会社の株式は特殊な方法でその価値を推定します。
これには、大きく分けて3つの方法があります。
① 似たような事業を行っている上場会社の株式相場から、非上場会社の株式の価値を推定する方法(類似業種比準方式)。
② 非上場会社の純資産を計算し、それを発行済株式の総数で割り、それを株式の価値とする方法(純資産価額方式)。
③ 上記2つの方法を併用する方式。
1-2.取得から3年内の土地建物の場合には時価を使わなければならない
土地建物の購入から3年経過していない場合には相続税評価額が利用できません。時価で資産を計上することになるため、会社の純資産が相続税評価額よりも高くなることになります。会社の純資産が高くなれば、相続財産である株の価値も高くなり、相続税が増えるのです。
実務的には、土地については相続税評価額を算出し、それを0.8で割り戻す方法か、もしくは購入金額に時点修正を行う方法等が考えられます。
2.まとめ
バブル経済の頃に比べれば時価と相続税評価額の差は小さくなっていますが、相続税評価額の方が節税できることに変わりありません。3年以内に相続する可能性がある場合には、土地建物を取得するタイミングに留意する必要があるでしょう。