ビルやマンションの敷地内にある誰もが自由に使えるスペース、それが公開空地です。所有者以外が自由に利用できるのだから、相続税でしんしゃくの対象になるのではないかと考える人もいらっしゃることでしょう。公開空地の定義やその確認方法、相続税における評価についてご紹介していきます。
1.公開空地とは?
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!公開空地とは、ビルやマンションの中にある私有地の一部でありながら、近隣住民も自由に出入りすることのできるスペースのことです。ビルやマンションのような大きな建築物には、通常高さなどの制限が課せられています。しかし、公開空地を設けることでこれらの制限を緩和してもらうことが可能です。
緩和のための制度を「総合設計制度(正式名称は敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例)」といいます。公開空地は、一般の人が自由に出入りできればそれでよく、形は特に定められていません。
通路である場合もあれば、樹木などを植えた公園のようなスペースになっていることもあります。なお、公開空地ではなく、提供公園によって総合設計制度を利用する方法もありますが、提供公園と公開空地は同じものではありません。公開空地はあくまでもビルやマンションの私有地ですが、提供公園は自治体へ無償で寄付した土地となります。
1-1.公開空地があるかどうかの確認方法
最も簡単な公開空地の確認方法は、敷地内に私有地であることが書かれた掲示があるかどうかを見ることです。公開空地はあくまでも私有地のため、所有者によってルールを定めることができます。そのため、ごみのポイ捨ては禁止などのルールが掲示されていれば、公開空地だと思ってよいでしょう。また、総合設計制度によって建物を建築する場合、必ず自治体に申請し審査を受けなければなりません。掲示がなくてわからない場合は、自治体に問い合わせて確認してもらうのも1つの方法でしょう。
2.公開空地のある宅地の相続税評価
結論からいうと、公開空地があったとしてもその宅地の評価は減額の対象にはなりませんので、ご注意ください。一般の人たちが自由に使えるスペースなので、相続税での評価が変わってくるのではないかと考える方もいることでしょう。
しかし、残念ながら評価は変わりません。あくまでも、ビルやマンションなどの建築物を建てるために必要な敷地であると判断されるためです。特例が適用されなければ、高さや容積などの優遇を受けることはできません。
公開空地は、確かにその建物を建てるために必要な敷地であると判断されるのも当然のことでしょう。ただし、公開空地ではなく、通行のために不特定多数の人が利用する私道であればこの限りではありません。宅地の相続でお悩みのことがある場合は、相続税に強い税理士などに相談するとよいでしょう。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。