造成中の宅地の相続税評価は「造成前評価+造成費の80%」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
土地開発、造成

相続した遺産の中に、造成中の宅地があった場合はどのように相続税の計算をすればよいのでしょうか。造成中の宅地についての説明から、課税対象となる地目の扱い、具体的な計算方法、各種注意点などについてご説明していきます。

1.造成中の宅地とは?

>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!

宅地とは、建物を建てるための敷地、または、建物の維持などのために必要な土地のことです。家やビルなどを建てるための土地も宅地ですし、建物の一部として道路を作る場合や、ホテルなどの敷地内にあるプールなども宅地扱いとなります。

造成とは、その土地に手を加えて整えることです。つまり、造成中の宅地とは、家などの建物を建てるために準備を整えている最中の土地のことを意味します。例えば、これまで農地や山林だった場所であれば、土壌を整えたり、でこぼこな部分を平らにしたりしなければなりません。宅地の用途によっては、電気・ガス・水道などのライフラインを引き込む工事も必要となるでしょう。こうした工事のほかに、宅地とするための地目変更登記も必要となります。

2.造成中の宅地の相続税評価方法

2-1.【STEP1】造成工事着手前の状態で評価額を計算

造成中の宅地の場合、造成前の地目が適用されます。造成前の地目が農地であれば農地で、山林であれば山林で評価を計算することになります。あくまでも造成中の宅地なので、造成後の地目で評価されることはありません。

しかし、造成が始まっている以上、造成前の地目のみで評価額が決定されるわけではないことに注意しましょう。詳しくはSTEP2をご覧ください。

2-2.【STEP2】相続開始日までにかかった費用原価を計算

STEP1に続き、造成を開始してから造成中の宅地を相続する日までにかかった造成工事費用の計算が必要です。

元の場所が水田や池、沼などであれば埋め立ての費用がかかっているでしょう。状態によっては、地盤の改良も必要です。

山林であれば、樹木を伐採・伐根したり、山を切り崩して地ならしをしたりする費用がかかっています。土留めや擁壁が必要なケースもあるでしょう。

なお、相続開始日時点と造成開始日時点で物価水準が異なるケースも珍しくありません。このケースでは、相続開始日時点での物価水準が適用されます。金額の修正が必要ですので、注意しましょう。

2-3.【STEP3】STEP1の評価額+STEP2の費用原価×80%

最後に、STEP1とSTEP2で出した金額をもとに相続税の評価額を求めましょう。計算式は次のとおりです。

「相続税評価=STEP1(造成前の地目の評価額)+STEP2(相続開始日までにかかった造成費用)×80%」

見てわかるとおり、STEP2で計算した金額のすべてが相続税の評価額となるわけではありません。相続開始日までに造成にかかった費用原価の80%が対象となります。このように、造成中の宅地を相続した場合、様々なことを調べて評価額を計算しなくてはなりません。不安なことがある場合は、早めに税理士などへ相談しましょう。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。


【相続実務アカデミー】実務向け最新の相続知識を無料で!!無料会員登録はこちら
【採用情報 - RECRUIT -】チェスターで一緒に働きませんか?相続業務の魅力・給与・福利厚生ectはこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る