特別緑地保全地区内にある山林の評価

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特別緑地保全地区内にある山林の評価

被相続人が所有していた山林がありますが、その山林は特別緑地保全地区の一部であることがわかりました。
評価対象地である山林は倍率地域にあり、固定資産税評価額は1,000千円、評価倍率は15倍となっています。

1.特別緑地保全地区内にある山林の評価方法の概要

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1-1. 特別緑地保全地区内にある山林の評価減

 都市緑地法に規定する特別緑地保全地区内にある山林は、建築物の新築や改築、宅地造成などの制限があることにより他用途への転用可能性が制限されているため、原則として次の算式による金額を控除して8割の減額を行います(評基通50-2)。

1-2.管理協定が締結されている場合の評価減

特別緑地保全地域内にあり、次の要件の全てを満たす管理協定が締結されている山林は、特別緑地保全地区内にある土地として評価した価額から、さらに2割を控除して評価します(質疑応答事例より)。

  1. 都市緑地法第24条第1項に規定する管理協定区域内の土地であること
  2. 管理協定に次の事項が定められていること
    1. 貸付けの期間が20年であること
    2. 正当な事由がない限り貸付けを更新すること
    3. 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

2. 特別緑地保全地区内にある山林の評価にあたっての留意点

特別緑地保全地区に指定されていない場合や、特別緑地保全地区内であっても林業を営む山林がある場合には、通常の純山林としての評価をするため、8割の評価減は行いません。
また、都道府県や市との管理協定が結ばれているかどうかの確認も漏れないようにしましょう。

3.語義説明

3-1.都市緑地法

都市緑地法は、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関し必要な事項を定めることにより、良好な都市環境の形成を図る法律です。法律制定時の名称は都市緑地保全法でしたが、平成16年の都市緑地保全法改正に伴い都市緑地法に改称されました。

3-2.緑地保全地域

緑地保全地域とは、里地・里山など都市近郊の比較的大規模な緑地において、比較的緩やかな行為の規制により、一定の土地利用との調和を図りながら保全する地域をいいます(都市緑地法第5条)。
緑地保全地域の都市計画が定められた場合、都道府県又は市は、当該緑地保全地域内の緑地の保全に関する計画(緑地保全計画)を定めます。
この緑地保全地域に指定されると、次の行為を行う場合に、都道府県知事(市の区域内にあっては市長)への届出が必要になります(同法第6条、第8条)。

  1. 建築物その他工作物の新築、改築又は増築
  2. 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
  3. 木竹の伐採
  4. 水面の埋立て又は干拓
  5. 屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積
  6. など

3-3.特別緑地保全地区

特別緑地保全地区とは、都市計画において決定される地域地区の一つであり、都市における良好な自然的環境となる緑地において、建築行為など一定の行為の制限などにより現状凍結的に保全するもので、例えば、寺社林や丘陵地、屋敷林が該当します(都市緑地法第12条)。
また、特別緑地保全地区は、都市計画法における地域地区として、市町村(10ha以上かつ2以上の区域にわたるものは都道府県)が計画決定を行います。

当該地区に指定されると、次の行為を行う場合に、都道府県知事(市の区域内にあっては市長)の許可が必要になります(同法第14条)。

  1. 建築物その他工作物の新築、改築又は増築
  2. 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
  3. 木竹の伐採
  4. 水面の埋立て又は干拓
  5. 屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積
  6. など

3-4.管理協定制度

管理協定制度は、地方公共団体又は緑地管理機構が、緑地保全地域内又は特別緑地保全地区内の緑地について土地所有者等による管理が不十分と認められる場合に、土地所有者等との間で緑地の管理のための協定を締結し、その土地所有者等に代わり緑地の保全及び管理を行う制度です(都市緑地法第24条)。

4.設例の評価計算

4-1.特別緑地保全地区内に存する山林の評価額

1,000千円 × 15倍 ×(1-80%)=3,000千円

4-2.さらに管理協定が結ばれている場合の評価

3,000千円×(1-20%)=2,400千円

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