建築中の家屋(建物)に関する相続税評価の具体的計算方法

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建築中の家屋(建物)に関する相続税評価の具体的計算方法

建築中の家屋(建物)の相続税評価をおこなう方法は、既存の建物の評価基準とは異なります。そもそも、建築中の家屋とは何を意味するのか、相続税評価をおこなう場合に適用する計算方法も合わせて、具体的に紹介していきましょう。

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1.建築中の家屋(建物)とは?

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相続税評価に際して、建築中の家屋(建物)とは、課税時期において建築工事中である家屋や建物を意味しています。なお、ここでいう「課税時期」とは、被相続人が亡くなった日、および対象となる建物が相続人に贈与された日を指します。

相続した建物が建築工事中である場合には、当然のことながら、固定資産税の評価額が付与されていません。したがって、建築中の家屋(建物)については、税法上個別に相続税評価をおこなう仕組みが確立されています。

2.建築中の家屋(建物)の相続税評価

国税庁の財産評価基本通達の第3章91には、建築中の家屋(建物)に関して、実際に相続税評価をおこなう方法が定められています。すなわち、相続した建物が建築途中である場合には、工事にかかった費用の総額(以下、「費用現価」と称す)の70%に相当する金額により相続税評価をすることとなります。

費用現価の金額は、相続対象となる家屋(建物)の工事請負契約金額に、工事進捗率を乗じて算出するのが一般的です。工事進捗率は、建築業者から提出される進捗率証明書等により、決定されることとなります。

なお、費用現価の金額は、支払いスケジュールによっては、被相続人が建築業者に対して支払った金額と、完全に同額とはならないケースがある点に注意が必要です。被相続人が建築業者に支払い済みの金額が、費用現価を上回っている場合、その差額は「前払金」となり、逆の場合であれば「未払金」として、それぞれ相続税の課税財産に含まれます。

ただ、実際に固定資産税評価が付されるとおそらくこの算式で計算されたものよりは低額になることが一般的です。ですので、残念ながら相続税の計算上は、不利ということになってしまいます。

2-1.具体的計算事例

実際、建築中の家屋(建物)の相続税評価は、どのようにおこなったらよいか、以下の設定事例をもとに確認していきましょう。

<設定条件>
建築工事の請負契約金額 8,000万円
課税時期における工事進捗率 30%
被相続人が建築業者に対して支払った金額 3,000万円

<上記設定条件における相続税評価の計算方法>
ステップ1:工事進捗率に応じた費用現価の算定
8,000万円×30%=2,400万円(費用現価)

ステップ2:建築途中の家屋(建物)の相続税評価額の算定
2,400万円(費用現価)×70%=1,680万円(相続税評価額)

なお、上記事例では、被相続人が建築業者に対して支払い済みの金額(3,000万円)に対し、費用現価は2,400万円で、両者には600万円の乖離が見られます。この差額600万円は、被相続人にかかる債権(前払金)として認識されます。


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