相続対象となった土地が土壌汚染地の場合、相続税評価を減額することが可能です。土壌汚染地の相続税評価は、汚染がなかった場合の評価額から、浄化費用や使用収益制限による減価相当額、および心理的要因による減価相当額を差し引く減価方式によって計算します。
1.土壌汚染地とは?
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!土壌汚染地とは、直接もしくは地下水などを通して間接的に摂取した場合に人に健康被害をおよぼす有害物質に汚染された土地のことをいいます。
特定の有害物質を扱う施設を廃止した場合や都道府県知事に土壌汚染により健康被害が発生するおそれがある場合に調査が行われ、その結果指定基準にあてはまった場合には土壌汚染地の指定が行われます。
土壌汚染地を相続する場合、土地の所有者は、汚染されていない土地と比較して汚染調査や汚染物質を浄化する負担や、制限といった不利益があるため、相続税においても一定の評価減を適用できます。ただし、相続税課税時期までに土壌汚染が判明していることが条件です。
2.土壌汚染地の相続税評価方法
土壌汚染地の評価額の算定時には、汚染がない場合の評価額から、浄化・改善費用相当額の減価、使用収益制限による減価、心理的要因による減価を行うことができます。
2-1.浄化・改善費用
土壌汚染地の評価額を算定するにあたり、汚染物質の浄化・改善費用を評価額から減じることができます。汚染がない場合の土地の相続税評価は地価公示価格の約80%相当となるため、浄化・改善費用についても見積額の80%程度を減価対象とすることができます。
2-2.使用収益制限
土壌汚染の汚染物質の浄化以外に行った措置によって生じる土地利用制限にあたる部分も減価の対象となります。たとえば、土壌汚染地がその汚染の内容が原因で住宅として使用することは難しく駐車場にせざるを得ないといった制限がある場合、その収益相当額を評価額から減価することができます。
2-3.心理的要因による減価
その土地が土壌汚染地であることに対して起こる嫌悪感が原因となる不利益分を減価することができます。明確な減価基準はなく、個別に検討が行われます。
3.汚染原因者への求償権は相続財産への計上が必要
土壌汚染にはさまざまな原因が考えられますが、汚染の原因が相続人以外の第三者にあり、その原因者を特定できる場合は、浄化や改善にかかった費用を請求することができます。この権利を求償権といいますが、相続財産の評価にも関係します。
汚染の原因者から浄化等の費用を回収できる見込みがある場合は、求償権は相続財産とみなされ相続税課税の対象となります。しかし、費用が回収不能の場合には、相続財産へ計上する必要はありません。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。