団体信用生命保険がある場合の相続税の注意論点

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団体信用生命保険がある場合の相続税の注意論点

マイホームを購入するとき、住宅ローンを借り入れる場合には、団体信用生命保険に加入することが一般的です。住宅ローンの借り入れ期間中に債務者が亡くなったら、相続税はどうなるのでしょうか。団体信用生命保険の保険金は相続税の対象となるのか、あるいは、住宅ローンは債務控除できるのか、解説していきます。

1.団体信用生命保険がある場合の相続税の注意論点

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1-1.相続税の対象にはなりません

住宅ローンを借り入れて、マイホームを購入する際には、民間の金融機関では団体信用生命保険への加入が義務付けられているケースが多くなっています。フラット35でも、団体信用生命保険への任意での加入ができます。団体信用生命保険は、住宅ローンの返済期間中に借り入れをした人が亡くなった場合や高度障害になった場合に、保険会社が住宅ローンの残債を支払うものです。

死亡保険金はみなし相続財産として、相続税の課税対象となり、相続人が受取人である場合には非課税枠があります。しかし、そもそも、団体信用生命保険の契約者や受取人は、住宅ローンを借り入れている金融機関であり、相続人には支払われず、債権者に直接支払われるため、相続税は発生しません。

一方、相続人が保険会社から死亡保険金を直接受け取って、住宅ローンの返済に充てる場合は、相続税の評価の対象です。一般的な生命保険の死亡保険金の受け取りは、みなし相続財産として、相続税の対象となるのです。ただし、死亡保険金には相続税の非課税額があります。「死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数」という計算式で算出される非課税限度額を死亡保険金が上回った場合には、相続税が発生します。

1-2.住宅ローンは消滅するので債務控除はできません

相続税の算定では、住宅ローンなどの債務は負の資産として、債務控除されます。しかし、債務の要件は、「相続開始時において確実な債務」であり、団体信用生命保険に加入している場合には、住宅ローンは消滅する債務ですので、該当しません。つまり、団体信用生命保険へ加入している場合、相続税の計算に住宅ローンは影響しないのです。

団体信用生命保険に加入している被相続人が亡くなったとき、住宅ローンの目的となっていた自宅はそのまま相続税の評価対象となります。一方、死亡保険金で住宅ローンを返済したケースでは、住宅ローンは債務控除され、死亡保険金には非課税額がありますので、住宅ローンが団体信用生命保険で消滅するときよりも、相続財産は減ることがあります。


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