※2018年1月以降発生の相続について、「広大地評価」は適用できません。代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されています。※
相続した土地が著しく広い場合、広大地として評価される要件の一つに、「公共公益的施設用地の負担の必要性」があります。公共的公益的施設用地とは何か、また、認められるケースや認められないケースについて、解説していきます。
~目次~
1.広大地評価における「公共公益的施設用地」とは?
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!広大地として認められるには、戸建て分譲地として開発を行う際に、公共公益的施設用地が必要となることが要件の一つです。最も経済的で合理性のある区画割りをした場合に、公共公益的施設用地として、道路の開設の必要があるなど潰れ地が発生するケースが該当します。
建築基準法では、住宅などの建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していることが義務付けられています。著しく広い宅地であっても、接道状況などによって道路を開設しなくても、最も経済的に区画割りした宅地がそれぞれ接道できれば、広大地には当たらないのです。
2.「公共公益的施設用地」が必要な典型的な事例
公共公益的施設用地が必要となる典型的な事例として、正面道路にしか接道しておらず、間口よりも奥行が深い形状の敷地が挙げられます。正面道路しか接していない場合でも、奥行が浅ければ後述の路地状開発が妥当なケースもあります。しかし、奥行が深い敷地で、さらに奥の区画にも道路が必要な場合には、道路を開設した方が経済的な合理性から有利なことが多いです。道路が二方や三方に面している場合でも、敷地条件によっては、道路の開設が妥当とされるケースもあります。
3.「公共公益的施設用地」に該当しない6つのケース
3-1.小規模な施設のみ
潰れ地となるスペースが、ごみ置き場など小規模なスペースのみの場合には、負担の軽さから公共公益的施設用地とは認められないです。
3-2.セットバック部分のみのケース
接道する道路の幅員が4mの場合、原則として道路の中心線から2mセットバックした位置まで後退して家を建てることが建築基準法で定められています。この場合、セットバックによる評価減が受けられますが、広大地には該当しません。
3-3.開発指導で道路敷の提供を求められ、道路開設は不要なケース
セットバックは不要な敷地で、開発指導で道路の拡幅のために道路敷の提供を求められるケースは、道路開設には該当しないため、公共公益的施設用地に当たりません。
3-4.間口のみが広いケース
間口が広く、奥行が深いケースでは、戸建て分譲地として区画割りする際に、道路開設が必要にならないです。
3-5.道路が二方、あるいは、三方、四方にあるため道路開設が不要なケース
道路が二方、あるいは、三方、四方にあるケースでは、敷地形状によっては、道路開設が不要とみなされます。
3-6.路地状開発を行う方が合理性が高いケース
戸建て分譲地として区画割りを行う際に、路地部分のある宅地を設けた路地状開発が妥当とされるケースは、広大地とは認められないです。建築基準法や都市計画法などを遵守した条例で区画割りができること、容積率や建ぺい率の計算上有利なことなども条件です。また、周辺エリアで路地状開発が一般的であるかどうかも判断材料です。