農地を農業生産法人に貸し付ける場合
相続税・贈与税の納税猶予の特例は、農業経営の近代化、農地の細分化防止、農業後継者の育成を税制面から助成することを目的として行われている制度です。これにより農業者の納税を猶予することで、継続的に農業者が農業を営みやすくする効果が期待できます。
なお、租税特別措置法令第40条の6第10項第2号(措置法令第40条の7第10項)の規定においては、相続税・贈与税の20%の計算除外を受けることが出来ることが規定されております。もし仮に相続税・贈与税の納税猶予の特例を受けている者が、農業生産法人に農地を貸し付け、その法人の従事者となった場合にもその20%の計算除外を受けることが出来るか疑問が生じます。
これについては、同じく租税特別措置法施行令第40条の6第9項第2号において、農地法第2条第3項に規定する農業生産法人に「出資」をした場合と規定されており、あくまでも農業生産法人に「出資」して、そこの従事者になる場合に限るとしています。つまり、「貸付」の場合はこれに該当することがなく、20%の計算除外の適用を受けることが出来ないと言うことになります。
ちなみに「出資」とは、法人に財産を提供することとなり、「貸付」とは将来返還されることを目的で一時的に借主に対象物を貸すことです。その他に有償・無償の形で行われる「譲渡」の場合においても「出資」に該当しない事となり、当然20%の計算除外の適用を受けることが出来ません。