使用貸借に係る農地の離作料と贈与税についての解説
贈与税についてはとても複雑でわかりにくい内容があります。特に、貸借関係があったときのそのあとに販売したときなど、法律に照らして判断することが求められます。具体例で説明します。
表題にあります「離作料」とは「農地を借りて耕作していた者が、貸していた者の都合で耕作できなくなったときに、賠償の意味で支払う慰謝料」という趣旨のお金のことです。例えていうなら、立ち退き料のような性格のものです。
少し頭の切れる人ならば考えつくようなことですが、AさんがBさんに「贈与税を支払わずに農地を譲りたい」と考えたとします。このときふたりの関係は農地を貸している側がAさん、借りている側がBさんでした。
Aさんがなんの工夫もせず、単に農地をBさんに無料で譲るとしたならば当然のごとくBさんは贈与税を支払わなければいけません。
そこで、Aさんは「農地をBさんに貸していた」という事実から、離作料という名目でお金を支払い、そのお金で「Bさんが農地を購入する形にする」方法を思いつきました。こうすることによってBさんは、農地を購入することになりますので贈与税はかかりませんし、購入するお金も離作料をもらうことによって実質的には自分が用意をするお金がいらないことになります。つまり、Bさんはお金の支出を全くすることなく農地を譲り受けることができます。
しかし、残念ながらこのような方法は税務署には認められません。理由は、農地における使用貸借の権利はゼロとして評価されるからです。簡単にいいますと、立ち退き料の意味合いの離作料自体が認められないことです。ですから、贈与税が発生します。