親から金銭を借りた場合に贈与と看做されるリスク

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借金か贈与かの判断

住宅や自動車などの高額のものを購入する場合、親から資金援助を受けることがあります。たとえ親からであっても、お金を受け取れば贈与を受けたことになり、一定額を超えると贈与税がかかることになります。しかし、贈与ではなく借金として返済するのならば贈与税の対象にはなりません。ただし、税務署が借金として認めてくれるには条件があります。

返済条件や利息などの定めがないようなものや、「ある時払いの催促なし」とか「出世払い」というような条件で貸したものは贈与として扱われることになります。借用証書もないようなものを金銭貸借だと認めてもらおうとしても無理だということはわかりやすいですが、借用証書さえ作っておけば安心というわけではありません。現実的な返済条件であることや、返済の実績などがないと贈与とみなされることになります。

利息に関しても注意が必要です。無利子で貸すことも可能ですが、無利子で貸した場合には、利子に相当する金額の利益を受けたことになり、その利益相当額が贈与として扱われることもあります。また、利息を受け取る親の側も、その受け取り利息の額によっては所得税の申告が必要になります。

親からの贈与でも税金がかからない場合

親からの贈与であっても、相続時精算課税制度あるいは住宅取得資金贈与の特例などに該当する場合には、それぞれの非課税枠内であれば贈与税は課税されません。住宅資金の特例だけではなく、教育資金や結婚資金の贈与などが非課税になる特例もあります。また、年間110万円までの暦年課税による非課税と相続時精算課税とはどちらかしか選択できません。

相続の際に特別受益とされる可能性も

親から高額の贈与を受けている場合、贈与税の問題だけではなく、特別受益(民法第903条)として相続分を先にもらったものとして扱われることがあります。たとえば、相続開始時に5千万円の相続財産があったとして、親から既に3千万円の贈与を受けていたとすると、相続財産の総額は8千万円となります。相続人が2人だとして均等に分けるとしたら4千万円ずつになりますが、3千万円は既に受け取っていることになり、新たに受け取れるのは残りの1千万円の相続分しかありません。


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