相続分不存在証明書(特別受益証明書)は遺産分割協議書の代わりになる

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相続分不存在証明書(特別受益証明書)は遺産分割協議書の代わりになる

遺産分割協議書を作るだけでも、親族でもめてしまうことは珍しくありません。しかし、相続分不存在証明書(特別受益証明書)があれば、遺産分割協議書の代わりにすることができます。このように便利な相続分不存在証明書ですが、問題点も見逃せませんのでここで正しく理解をしてください。

1.相続分不存在証明書(特別受益証明書)とは?

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相続分不存在証明書とは、相続するものが存在しないことを証明するための書類です。相続するものが存在しないケースはいろいろあるでしょう。相続分不存在証明書を発行するケースでは特別受益が存在する場合に該当します。

特別受益とは、被相続人より生前贈与や遺贈を受けたことによって発生する利益のことです。相続分不存在証明書は、特別受益を証明するための書類でもあるため、特別受益証明書とも呼ばれます。

相続分不存在証明書を作成するための手続きは、難しいものではありません。相続することはない旨の記載、実印の押印、印鑑証明の添付のみです。生前贈与・遺贈されたものの明細なども必要ありません。
なお、相続分不存在証明書は、相続することはないと主張するその本人が作成する必要があります。

2.相続分不存在証明書を利用する具体的なケース

生前贈与・遺贈のすべてが特別受益となるわけではありません。民法903条では、婚姻・養子縁組・生計資本としての贈与が特別受益として認められています。

しかし、挙式のための資金や結納金は特別受益とは認められません。「婚姻」で特別受益に該当するものは、持参金や支度金などです。このほか、開業資金や事業の支援資金、不動産、自宅を作るための資金などは特別受益に該当するため、相続分不存在証明書を利用することができます。

3.相続分不存在証明書の問題点

相続分不存在証明書の問題点としては、大きく2つあります。1つは、書式が定められていないことです。相続分不存在証明書には、具体的にどのような特別受益を受けたのか記載する必要がないために、どの程度の贈与を受けたのかはっきりしないことがあります。

もう1つは、相続分不存在証明書そのものの有効性です。相続分不存在証明書は存在するけれども、実際には特別受益を受けていないケースもあります。本ケースでは、本人が納得して署名・押印しているのであれば問題ありません。しかし、他者によって偽造されていた場合には無効となります。

4.相続放棄との違いはなに?

相続分不存在証明書があれば、相続放棄の手続きをする必要はありません。すでに相続するものがないことが相続分不存在証明書によって証明されているため、相続放棄と同じような効力があります。

しかし、あくまでも同じような効力であり、まったく同じ効力ではありません。相続分不存在証明書を作成しただけでは相続を放棄したことにはなりませんので、借金などマイナスの相続が発生した場合には対応が必要となることもあります。マイナスの相続を防ぐためには、別途相続放棄の手続きが必要となる点に注意しましょう。

5.まとめ

相続分不存在証明書(特別受益証明書)は、遺産分割協議書の代わりとして利用できる証書です。しかし、相続分不存在証明書さえあれば、相続に関するすべてが解決するわけではありません。相続分不存在証明書のデメリットにも注意しつつ、上手に活用しましょう。

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