相続税の物納を分かりやすく解説

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相続税の物納を分かりやすく解説

相続税は金銭で支払うものと思っている人も多いかもしれません。原則としてはその通りですが、状況によっては物納も認められています。物納が可能となる4つの要件や、物納が可能な資産についてご紹介していきましょう。

1.相続税の物納とは

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物納とは、金銭の代わりに国債や不動産など、金銭以外の資産で相続税を納付する方法のことです。相続税は原則として金銭で納めるものですし、納付期限までに納められない場合には延納も認められています。なお、延納とは、相続税を分割して支払う方法のことです。

しかし、延納を行ってでも相続税が金銭で支払い切れない理由があり、物納が許される限度額であれば、物納による相続税の納付もできます。たとえば、不動産を相続したとしても、すぐに換金して相続税の支払いにあてることは難しいでしょう。このようなケースで、金銭の代わりに土地や不動産を納めることができます。

2.相続税の物納を行うための4つの要件

金銭ではなく物によって相続税を納付する場合には、4つの要件を全て満たさなくてはなりません。

1つ目の要件は、理由と金額です。相続税は延納することも可能ですが、延納でも金銭による支払いが難しい理由があり、そのうえで金額が定められた限度額であることが条件となります。

2つ目の要件は、物納の対象となる資産の定義です。物納可能な資産は国税庁によって定められており、また、その資産が日本国内になければなりません。

3つ目の要件は、管理処分不適格資産や物納劣後資産についてです。管理処分不適格資産は物納の対象として認められません。物納劣後資産での物納は可能ですが、物納としての優先度が低いために条件が定められています。

4つ目の要件は、手続きに関するものです。物納を希望する場合は、期限内までに必要な書類をそろえて税務署長に提出する必要があります。

3.物納できる資産とできない資産

3-1.物納できる資産には優先度がある

最も優先度が高い物納可能な資産は、国債、地方債、不動産、船舶の4つです。その次が、社債や株式、証券投資信託または貸付信託の受益証券となります。ただし、短期社債など、一部対象外となるものもあるため注意しましょう。

最後が動産です。動産とは不動産以外の資産のことで、テレビやデジタルカメラなどの商品、切符のような無記名債権や現金も動産にあたります。

3-2.物納できないのは管理処分不適格資産

管理処分不適格資産とは、物納されても国での管理や処分が困難となる資産のことです。不動産は物納可能な資産ですが、担保権が設定された不動産などの場合は管理処分不適格資産となってしまいます。物納可能な資産とされている動産や株式についても同様です。

条件・状態によっては管理処分不適格資産となりますので、不動産だから大丈夫、株式だから大丈夫と安心することは危険です。物納に関して不安がある場合には、物納に強い税理士などに相談すると良いでしょう。


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