前受家賃は相続税の債務控除の対象とはならない

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前受家賃は相続税の債務控除の対象とはならない

被相続人が賃貸物件を経営していた場合、前月に当月家賃を振り込むよう賃借人と契約を結ぶことは少なくありません。これを前受家賃といいますが、万一家賃を受け取った後、対象月になる前に死亡した場合、相続人は前受家賃をもらった状態で相続することになります。この場合、前受家賃は債務控除の対象となるのでしょうか。

1.前受家賃は相続税の債務控除の対象とはならない

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たとえ前受家賃を受け取っていたとしても、相続税の債務控除の対象にはなりません。なぜなら、前受家賃は返還すべき債務とは認められないからです。

2.ポイントは「返還すべき債務かどうか」

債務控除の対象になるかどうかの判定ポイントは、返済すべき債務かどうかというところにあります。

国税庁のタックスアンサーによると、相続税から控除できる債務とは、確実に債務であるということが、被相続人が亡くなった時点で認められるものとされています。
※参考:No.4126 相続財産から控除できる債務|国税庁

前受家賃の場合、対象となる月の前月に振り込まれているため、経理上では一旦負債として扱われます。実際に準確定申告の場合には、前受家賃は負債として計上することが多いものです。そのため、債務控除の対象と勘違いしてしまうのは仕方がないのかもしれません。

しかし、賃貸主は前受家賃を受け取っていることから、前受家賃の対象月になれば、貸借人に部屋などを貸し出すことになりますよね。すると契約が成立し、前受家賃の返還義務はなくなります。そのため「確実な債務」には該当しないというのが、法律上の前受家賃の考え方です。

もちろん被相続人が亡くなり、相続人が即刻契約を打ち切ることも考えられるかもしれません。この場合は返還すべき負債となりますが、亡くなっている時点で相続が発生しているので、被相続人の負債ではなくなります。また、国税庁では確実な債務と認めるタイミングを「被相続人が死亡したとき」と定めているため、債務控除の対象とは認められない可能性が高くなります。

3.次年度の前受家賃を負債計上していた場合は?

たとえ年度をまたいで負債計上していた場合でも、前受家賃は債務控除としては認められません。

例えば個人事業主のアパート経営者が2017年1月に亡くなり、2016年12月分の前受家賃を負債計上していたとします。この場合、2016年度は負債として前受処理する必要があるため、確実な債務と考える人もいるかもしれません。

しかし、たとえ経理上は負債として処理されていたとしても、実際は2017年1月に貸借人に部屋などを貸し出しているため、確実な負債とは認められません。そのため債務控除の対象外となります。

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