特例の適用を引き続き受けるためには一定の要件を満たすことが必要
納税猶予の特例措置は、農業者年金基金法によって定められていますが、これが改正されたことによって解釈がどうなるのかが問題となっています。特に、相続が発生したときの扱いについては非常に難しいようです。
結論的に言えば、生前に経営譲渡が行われていれば納税猶予の適用を受けられる場合があります。ただし、この場合には一定の要件を満たすことが必要となってきます。
例えば、生前に長男に対して経営譲渡をすでに行っていて、実際には長男が農業経営をしていた場合、相続が始まって長男がすべてを引き継ぐのであれば長男は納税猶予の特例を受ける事ができます。
しかし、相続によって長男だけではなくて次男も財産を受け継いだ場合にはどうなるのかというと、この解釈は少し難しくなります。
まず長男についてですが、もともと経営譲渡が行われていたものを相続するわけですから、相続によって取得した農地を借りる権利が設定されていると考えられます。
この権利は相続によって消滅することになりますから、引き続いて農業経営を行っていくというような要件を満たせば、納税猶予の特例を引き続き受ける事ができます。
次男は農業経営を行っていなかったわけですが、長男が譲渡されていた権利は消滅しますから、扱いは同等となります。
ただ、引き続いて次男が農業経営を行うなどの要件を満たさない限りは納税猶予の特例を受ける事はできなくなりますから注意が必要です。