小規模宅地等の特例の適用を受けられるかどうかによって、相続税の課税額は変わってくるものです。基本的に適用を受ける場合は期限内の申告が原則となっています。しかし、一部例外として期限後申告でも適用が認められるケースもあります。小規模宅地等の特例の適用が可能な考え方とパターン別の期限後申告での適用について解説します。
~目次~
1.小規模宅地等の特例は期限内申告が原則
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!小規模宅地等の特例は、被相続人等が居住や事業のために使用していた宅地に適用される特例で、限度面積の範囲内で、相続税の課税価格から一定の割合を差し引けるというものです。内容にもよりますが、50%または、80%の減額を受けることができ、相続税においてのポイントとも言えます。
しかしながら、注意しておかなければならないのが、小規模宅地等の特例には、原則として期限があるということです。小規模宅地等の特例を受けたいと考えた場合、基本的には期限内申告を行うことが重要となります。
国税庁の定めによりますと、相続税の申告期限は「被相続人の死亡を知った日の翌日より10か月以内」。基本的には、亡くなった日を基準に考えれば良い訳ですが、家庭の事情で死亡したことを知らなかった場合、死亡を知った日を基準にできると考えることができます。
なお、基準日である被相続人の死亡の翌日から10か月を超えてしまうと、小規模宅地等の特例、さらには配偶者の相続税軽減を受けられなくなる可能性がありますので注意しましょう。
2.小規模宅地等の特例を期限後でも適用できるケース
基本的に小規模宅地等の特例の適用では期限内に申告を行う必要があると解説しましたが、例外もあります。遺産分割の状態に沿って、小規模宅地等の特例の適用が受けられるかどうか確認してみましょう。
2-1.申告期限以内に遺産分割があった場合
期限内に遺産分割があった場合は、期限後申告であっても小規模宅地等の特例を受けることができます。修正申告、または更正の請求を、分割を知った翌日から4か月以内に行い、特例の適用を受けられる手続きを行いましょう。
2-2.申告期限を越えて遺産分割が行われなかった場合(見込み書提出あり)
期限後申告であっても、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告を行えば、申告期限を越えての遺産分割であっても小規模宅地等の特例の適用を受けられる可能性があります。
なお、遺産分割に関する提訴などやむを得ない事情があった場合は遺産分割が3年以内に完了していなくても適用承認を受けられることもありますが、基本的には3年以内の遺産分割が重要であるということを押さえておきましょう。さらに、3年を超えての承認を受けるには、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を所轄の税務署に提出して、承認を受ける必要があります。
2-3.申告期限を越えて遺産分割が行われなかった場合(見込み書提出なし)
申告期限を越えて遺産分割が行われていなかった場合で、かつ「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出がなかった場合は、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。
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