【パターン別】共有の小規模宅地等の特例解説

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【パターン別】共有の小規模宅地等の特例解説

一定の条件を満たせば相続税が減額される小規模宅地等の特例は、共有の場合にも適用されます。生前に共有であった場合や共有で相続する場合など、パターン別に代表的な例を挙げ、どのような場合に小規模宅地等の特例が適用されるのか解説します。

1.共有でも小規模宅地等の特例が適用可能

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共有とは、1つの建物や土地を2人以上で共同で所有する場合を指します。具体的には、登記簿謄本の所有者欄の名前が2人以上であれば共有です。

共有の場合にも、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例が適用されます。二世帯住宅を区分所有でなく共有している場合もこれにあたります。

小規模宅地等の特例とは、居住用・事業用の宅地等を相続した際、同居しているなど一定の条件を満たせば、ある限度面積までは相続税の価額から定められた割合を減額するものです。

相続税価額は、平成27年1月1日以降に相続開始した場合、特定居住用宅地等の限度面積330㎡までの宅地等では80%が減額されます。一方、平成26年12月31日までに相続の開始があった宅地等の限度面積は240㎡です。
この特例は、相続開始前3年以内に贈与を受けた場合や相続時精算課税に係る贈与による宅地等には適用できません。

2.パターン別・共有の小規模宅地等の特例解説

共有で相続した場合、小規模宅地等の特例が適用できるかどうかは相続人の条件などによっても左右されるため一概には言えない部分もあります。
ここでは、敷地面積が330㎡以下の特定居住用宅地等にあたる住宅で父が被相続人、父母のみ同居という例を挙げ、代表的なパターンについて解説します。尚、貸家部分は父の死亡時に空き家とします。

2-1.被相続人の生前より共有だった場合

父母が居住していた住宅で、父と母がそれぞれ50%ずつ土地を共有しており母が父の所有分の土地を相続するという場合で考えてみます。

①特例の適用対象面積が土地全部
母が相続することになった土地は敷地面積の50%(父の持ち分)。その全てに小規模宅地等の特例が適用されます。
適用対象面積=敷地面積×50%(母の相続分)

②土地の一部が特例適用対象
同じ建物内に貸家部分がある場合、貸家については小規模宅地の特例が適用されません。
相続する土地のうち貸家部分の床面積の割合を差し引いた残りの面積に、母の相続分の50%(父の持ち分)を乗じた面積が小規模宅地等の特例の対象になります。
適用対象面積={(敷地面積-貸家部分の面積)×50%}

2-2.被相続人の生前は共有でなかった場合(単有の場合)

100%父の所有になっていた土地を母が相続する場合の例です。

①敷地に居住用建物のみがある場合(特例の適用対象面積が土地全部)
母が全て相続する場合、敷地面積全てが特例の適用対象になります。
適用対象面積=敷地面積

②居住用建物の一部が貸家又は敷地内に貸家がある場合(土地の一部が特例適用対象)
相続する土地のうち貸家部分の床面積の割合を差し引いた残りの面積が小規模宅地等の特例の対象になります。
適用対象面積=敷地面積-貸家部分の面積

2-3.被相続人の生前は単有だった土地を共有相続する場合

母と、生計を別にする同居していない子の2人で50%ずつ相続する場合の例です。

①敷地に居住用建物のみがある場合(特例の適用対象面積が土地全部)
母が相続する部分については小規模宅地等の特例が適用されますが、子の相続分に関しては特例は適用されません。
適用対象面積=敷地面積×50%(母の相続分)

②居住用建物の一部が貸家の場合(土地の一部が特例適用対象)
母と子で50%ずつ相続する場合は、適用される面積のうち母の相続分にあたる50%が適用対象になり、子の相続分は適用対象外となります。
適用対象面積={(敷地面積-貸家部分の面積)×50%}

③敷地内に居住用建物と貸家が別々にある場合(土地の一部が特例適用対象)
特例は貸家の敷地には適用できません。そのため、敷地面積から貸家部分の敷地面積を引いた面積に母の相続分である50%を乗じた部分が適用対象で、子の相続分には適用されません。
適用対象面積(母の相続分)={(敷地面積-貸家部分の面積)×50%}

一方、同じ敷地を母が居住用建物の敷地部分、子が貸家のある敷地部分に分けて分筆相続した場合、母の相続部分は全て特例の適用対象になります。
適用対象面積(母の相続分)=敷地面積-貸家部分の面積


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