無道路地とは、「財産評価総則基本通達第2章20-2」の(注)で規定されていて、道路に接していない土地のことを指します。「接道義務」という言葉も出てきますが、これは建築基準法等の法律によって「建築物を建設するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件」のことを指します。無道路地は全く道路に接していないために、他人の私有地や公有地を通り道路から出入りすることになります。
無道路地の評価について
税法上で無道路地の価額を評価する場合には、建築基準法の接道義務を含めて評価を行います。すなわち、無道路地と、無道路地に隣接する道路に面した土地とを合計した土地を合わせて、不整形地として評価して価額を算出します。この際に「建築基準法に則った最小限の間口距離を評価する無道路地に入るための通路幅」として不整形地の評価に用います。
次に算出した価額から、「40%の範囲内で妥当と思われる金額を控除」します。無道路地の不便性や資産価値の低下分を、この控除という形で認めていることになります。
このように「評価した価額から控除額を引いたもの」が、無道路地の評価の価額になります。
無道路地の例外規定
たとえ無道路地であっても、無道路地の所有者が新設する公有地、もしくは私有地を道路から出入りするために通行する権利を有する場合があります。これを「地役権」と呼び、税法上の評価では無道路地ではなく「間口が狭小な宅地」に該当して、その基準で評価を行う事になります。
最小限の間口距離
建築基準法では建造物の間口距離は2m以上必要と決められています。しかし一方で、各自治体の条例や自治体での建築審査会の審査の内容が建築基準法よりも優先されるケースもあるので注意が必要です。
【財産評価総則基本通達第2章20-2】(無道路地の評価)
無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき20≪不整形地の評価≫の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。(平11課評2-12外追加、平12課評2-4外改正)
(注)
1 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。
2 20≪不整形地の評価≫の定めにより、付表5「不整形地補正率表」の(注)3の計算をするに当たっては、無道路地が接道義務に基づく最小限度の間口距離を有するものとして間口狭小補正率を適用する。