被相続人が区分地上権を有していた場合に相続が開始すると、相続人が区分地上権を相続することになりますが、その場合、その区分地上権の相続税評価が必要になります。以下では、その評価について解説します。
区分地上権の相続税評価について
相続税評価基本通達では、宅地、農地、山林、原野、雑種地のそれぞれの地目の土地に設定された区分地上権の相続税評価について規定が置かれていますが、農地、山林、原野、雑種地については、すべて、宅地に設定されている区分地上権の評価に準じて評価するとされています。
よって、区分地上権の相続税評価は、宅地に設定されている区分地上権の相続税評価を基本として、その他の地目に設定されている区分地上権については、宅地に関する相続税評価方法を準用して評価することとなります。
宅地に設定された区分地上権の相続税評価について
宅地に設定された区分地上権の相続税評価は、相続税基本通達第2章第2節27-4により
規定されています。それによると、宅地に設定されている区分地上権の相続税評価は、その宅地の自用地としての価額に、区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率(区分地上権の割合)を基とした割合を乗じて計算した価額となります。
ここで、区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率とは、道路や公共施設の建築等のために公共団体が用地買収を行う際に利用する「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」別記2の「土地利用制限率算定要領」に基づいて計算した率となります。
例えば、同要領に基づいて計算した区分地上権の割合が40%、区分地上権が設定されている宅地の自用地としての相続税評価額が1,000万円とすると、この宅地に設定されている区分地上権の相続税評価額は、1,000万円×40%=400万円となります。
地下鉄等ずい道所有を目的とした区分地上権の相続税評価について
都市部では、宅地の地下を地下鉄のトンネル(ずい道)として利用するために、宅地に区分地上権を設定する場合があります。相続税評価基本通達第2章第2節27-4では、このようなずい道所有が目的で設定される区分地上権の区分地上権の割合は30%とすることができると規定されています。
したがって、ずい道所有が目的で設定される区分地上権は、区分地上権が設定されている
宅地の相続税評価額の30%の価額ということになります。鉄道会社でもない個人がずい道所有目的の区分地上権を有していることは少ないと考えられますが、その場合でその所有者に相続が開始すると、その区分地上権の相続税評価が必要になります。