借家権とは、「借地借家法」で定義されている、借家人が借家した建物をそのまま継続して居住できることを目的とした権利で、借家人を保護するために存在します。一般的には、「賃借権の契約期間が終了してもそのまま契約を法律上で自動継続して住み続けることができる」権利(あくまでも借家人側に著しい不当行為が無かった場合)のことを指します。
借家権も資産として、相続等には税制上の評価を受けます。
借家権の評価
税制上で借家権を評価する場合、最初に「財産評価総則基本通達第3章89:家屋の評価」か、もしくはその家屋が文化財建造物であった場合には「財産評価総則基本通達第3章89-2:文化財建造物である家屋の評価」、もしくは「財産評価総則基本通達第3章92:附属設備等の評価」によって評価した、「家屋自体の評価価額」を算出します。次に「借地権割合」と、「賃貸割合」の両方を「貸家である家屋自体の評価価額」を掛け算して、計算結果の金額を「借家権の評価価額」とします。
この際に用いる「借家権割合」は、国税局長が定めた割合であり、「路線価図」や「評価倍率表」に住所ごとに記載があるものを使用します。
また、「賃貸割合」は、
[賃借している各独立部分の床面積の合計]を[当該家屋の各独立部分の床面積の合計]
で割り算した値を「賃貸割合」として使用します。
借家権の評価の例外
元々その地域にて家屋を借家する際に、借家権の対価として「権利金」などの名目にて金銭が取引される慣行のない借家の場合には、借家権は評価しないこととします。
【財産評価総則基本通達第3章94】(借家権の評価)
借家権の価額は、次の算式により計算した価額によって評価する。ただし、この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しない。(昭41直資3-19・平11課評2-12外・平16課評2-7外改正)
上記算式における「借家権割合」及び「賃借割合」は、それぞれ次による。
(1) 「借家権割合」は、国税局長の定める割合による。
(2) 「賃借割合」は、次の算式により計算した割合による。