被相続人が相続の開始時点で、金銭的に見積もることができる書画骨とう品を有していれば、それらは、相続税の課税対象財産となります。その場合には、それらの相続財産評価が必要になります。以下では、書画骨とう品が相続税の課税対象財産となった場合の評価の方法について解説します。
財産評価基本通達の書画骨とう品の評価について
書画骨とう品の評価については、相続財産の評価基準を定めた財産評価基本通達第6章第4節135(書画骨とう品の評価)において規定されています。これによると、書画骨とう品の評価は、
(1)販売業者が有する場合の評価は、同節133(たな卸商品等の評価)の定めによっ
て評価する。
(2)(1)に掲げる書画骨とう品以外の書画骨とう品については、売買実例価額、精通
者意見価額を斟酌して評価する。
とされます。
書画骨とう品がたな卸商品等である場合の評価について
販売業者が有する書画骨とう品が相続財産となった場合のその評価方法は、
(1) 書画骨とう品が商品である場合の評価額は、その課税時点における価額から将来
においてその商品が販売された場合における適正利潤、評価時点から販売時点ま
での予定経費、販売時点で支払う消費税額を差し引いた価額となります。
(2) 書画骨とう品の原材料の評価額は、課税時点での仕入価額から仕入にかかる経費
を差し引いた価額となります。
(3) 書画骨とう品の半製品又は仕掛品の評価額は、その半製品又は仕掛品を課税時点
で購入するとした場合の価額から、取引にかかる費用や加工賃等を差し引いた価
額となります。
(4) 書画骨とう品が製品又は生産品である場合の評価額は、課税時期においてこれを
販売するとした場合の価額から、適正利潤、予定経費、支払い時の消費税額を差
し引いた価額となります。
書画骨とう品がたな卸商品等以外である場合の評価について
個人が所有する書画骨とう品の相続財産評価を行う場合には、書画骨とう品がたな卸商品等以外である場合の評価基準が適用されます。その基準は、売買実例価額又は精通者意見価額等を斟酌して決定するというものです。
売買実例価額とは、書画骨とう品が購入したものである場合にはその購入価額、それ以外の場合には、同種のものが取引されている場合におけるその売買価額、買取業者に買い取りを依頼した場合の買取見積価額、等が該当します。
また、精通者意見価額とは、鑑定人などに書画骨とう品の鑑定を依頼し、その結果得られた鑑定価額のことを言います。鑑定人に依頼する場合には鑑定料がかかりますし、この鑑定料は相続税控除の対象とはなりません。
なお、書画骨とう品の売買実例価額や精通者意見価額が低額(10万円以下程度)の場合には、書画骨とう品として独立の財産評価を行わず、家庭用財産に含めて評価を行います。