雇用主が保険料を負担している場合の保険金の相続税評価

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事業主が、従業員やその家族等を被保険者とした生命保険や損害保険の保険料を負担している場合があります。その場合、保険事故が発生して、従業員やその家族等に保険金が支払われた場合、その課税関係はどうなるのでしょうか。以下では、この問題について考えます。

相続税基本通達3-17「雇用主が保険料を負担している場合について」

相続税基本通達3-17では、事業主が保険料を負担している生命保険等に保険事故が発生し、保険料が支払われた場合の課税関係の基準が規定されています。それによると、その課税関係は、次の3形態に分類されます。

(1) 従業員を被保険者、保険金の受取人を相続人等とする生命保険契約等を締結してい
る場合で、従業員が亡くなり、相続人等が保険金を受け取った場合には、その保険
金のうち、雇用主が負担していた保険料に対応する部分については、従業員本人が
保険料を負担していたものと見做して、その部分の保険金は「みなし相続財産」と
して相続税の対象とする。

(2) 従業員の家族等を被保険者、保険金の受取人を従業員とする生命保険等を締結して
いる場合で、従業員の家族等が亡くなり、従業員が保険金を受け取った場合には、
その保険金のうち、雇用主が負担していた保険料に対応する部分は、従業員本人が
保険料を負担していたものと見做して、その部分の保険金に対して相続税及び贈与
税は課税されない。

(3) 従業員の家族等を被保険者、保険金の受取人を従業員及びその家族等以外の者とす
  る生命保険契約等を締結している場合で、従業員の家族等が亡くなり、従業員及び
その家族等以外の者が保険金を受け取った場合、その保険金のうち雇用主が負担し
ていた保険料に対応する部分は、従業員本人が保険料を負担していたものと見做し
て、その部分の保険金は「みなし贈与財産」として贈与税の対象とする。

相続税基本通達3-17のその他のケースについて

相続税基本通達3-17「雇用主が保険料を負担している場合」の主要な論点は、上記の3
形態のとおりですが、同通達では、それ以外のケースについても補足的に解説しています。

それによると、まず、雇用主が、従業員を被保険者とする生命保険契約等を締結しており
、かつ、その保険料を負担している場合で、従業員が亡くなり、その保険金を相続人等
に退職手当金等として支給する場合には、この通達の規定は適用されません。

その場合には、相続税法第3条第1項第2項に掲げる退職手当金等に該当し、この退職
金等として「みなし相続財産」に含まれ、相続税の課税対象財産として扱われることにな
ります。

また、従業員の家族等を被保険者とする生命保険契約等の保険料を事業主が負担してい
た場合で、従業人が亡くなり、この生命保険に関する権利が相続人等に相続される場合
には、この権利のうち、事業主が保険料を負担していた部分については、相続税の課税
対象とはなりません。 


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