取引相場の無い株式を相続により取得した場合に、その株式の相続税評価が必要になります。そして、その評価方法は、評価対象の株式を発行している会社の、総資産価額と従業員数に基づく規模により、判定されます。以下では、この株式の相続税評価における会社規模の判定について解説します。
~目次~
取引相場の無い株式を相続した場合に、会社規模の判定が必要な理由
取引市場の無い株式の相続税評価は、基本的には、会社の規模に応じて、以下の3つの価額を基準として定めます。
・大会社 類似業種批准価額
・中会社 類似業種批准価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)
・小会社 1株当たりの純資産額
よって、取引相場の無い株式を相続により取得した場合に、その相続税評価を行うためには、その株式を発行している会社が、大、中、小のどの規模の会社であるかを判定し、適用すべき財産評価方法を確定しなくてはなりません。
取引相場の無い株式を相続した場合の、会社規模の判定の方法
取引相場の無い株式を相続した場合に行う会社規模の判定は、評価対象株式を発行している会社の総資産額(帳簿価額によって計算した金額)と従業員数、業種、取引金額(直前期末以前1年間における金額)の4要素によって行います。
会社判定における大会社とは
この会社規模の判定における大会社とは、次の要件のうちのいずれかを満たす会社が該当します。
・業種に関わらず、従業員100人以上の会社
・従業員51人以上かつ総資産価額が20億円以上の卸売業に属する会社
・従業員51人以上かつ総資産価額が10億円以上の卸売業以外の業種に属する会社
・直前期末1年間における取引金額が80億円以上の卸売業の会社
・直前期末1年間における取引金額が20億円以上の卸売業以外の業種に属する会社
会社判定における中会社とは
この会社規模の判定における中会社とは、従業員が100人未満で、同時に次の要件のうちいずれかを満たす会社(大会社に該当する場合は除く)が該当します。
・従業員6人以上かつ総資産価額が7,000万円以上の卸売業に属する会社
・従業員6人以上かつ総資産価額が4,000万円以上の小売・サービス業の会社
・従業員6人以上かつ総資産価額が5,000万円以上の卸売・小売・サービス業以外の
業種に属する会社
・直前期末1年間における取引金額が2億円以上80億円未満の卸売業の会社
・直前期末1年間における取引金額が6,000万円以上20億円未満の小売・サービス業
の会社
・直前期末1年間における取引金額が8,000万円以上20億円未満の卸売・小売・サー
ビス業以外の会社
会社判定における小会社とは
この会社規模の判定における小会社とは、従業員が100人未満で、同時に次の要件のうちのいずれか満たす会社が該当します。
・従業員5人以下又は総資産価額が7,000万円未満で、かつ、直前期末1年間におけ
る取引金額が2億円未満の卸売業の会社
・従業員5人以下又は総資産価額が4,000万円未満で、かつ、直前期末1年間におけ
る取引金額が6,000万円未満の小売・サービス業の会社
・従業員5人以下又は総資産価額が5,000万円未満で、かつ、直前期末1年間におけ
る取引金額が8,000万円未満の卸売・小売・サービス業以外の会社