都市営農農地等の相続税の納税猶予

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都市営農農地等の相続税の納税猶予

都市営農農地等は、市街化区域にある農地の相続税の納税猶予において、他の農地と違った規定があります。都市営農農地等の定義と、都市営農農地に対する相続税の納税猶予の趣旨や、納税猶予の実際について解説します。

1.都市営農農地等の定義

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都市営農農地等とは、生産緑地内にある農地または採草放牧地で、なおかつ平成3年1月1日において、3大都市圏にあるものです。生産緑地とは、市街化区域※1にある農地で、都市の良好な環境の形成に役立ち、将来的には公共施設の敷地の候補ともなる農地のことを指します。3大都市圏というのは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県からなる「東京圏」と、愛知県、岐阜県、三重県からなる「名古屋圏」と、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県からなる「大阪圏」の3つのことです。都市営農農地等について、大体のイメージをつかんでいただけたでしょうか。

※1市街化区域とは、2016年の時点で国土の約3.8%であるにもかかわらず、日本の人口の約7割が居住している区域です。都市施設である道路や公園、下水道の整備が、重点的に実施されています。

2.都市営農農地に対する相続税の納税猶予

2-1.農地における相続税の納税猶予の趣旨と税制改正

一般的に、農地に相続税の納税猶予があるのは、農地法における「農業の保護育成」が目的です。そのため、平成21年度の税制改正以前には、20年間耕作すると納税猶予額が免除されるという規定がありました。けれども、この規定では、次世代への農業の継承が必ずしも行われませんでした。そのため税制が改正され、市街化区域外または都市計画区域外に所在する農地や都市営農農地は、終身農業に従事することにより税金が免除されるという規定に変わったのです。ただし、病気などやむを得ない事情により終身農業に従事することができなくなる場合もあります。その場合には、該当農地を他者に貸付できるという「営農困難時貸付制度」という例外規定が新たに設けられました。

2-2.都市営農農地の納税猶予の目的

市街化区域内にある、都市営農農地以外の農地は、国の立場で言うと「早く宅地化・都市化したい農地」という位置付けなのです。そこで、平成21年度の税制改正時にも、市街化区域内にある農地には「20年間耕作すると納税猶予」という規定が残されています。それに対して、都市営農農地や、市街化区域外または都市計画区域外にある農地については、将来に亘って農地として残したい土地という位置付けがあります。前述したように、生産緑地としての都市営農農地もやはり、都市の良好な環境の形成に役立ち、将来的には公共施設の敷地の候補ともなる農地なのです。そのため、「終身農業に従事した場合に納税猶予」という規定(及び例外規定)に変わりました。

2-3.都市営農農地の納税猶予の実際

それでは、都市営農農地の納税猶予のあらましを整理してみましょう。都市営農農地(以降農地)で農業を営んでいた、もしくは農地を他者に貸付していた被相続人からの相続や遺贈により取得した農地というのが、前提条件です。この農地の価額の中で、農業投資価格※2による価額を超えた部分にかかる相続税額は、相続人が被相続人と同様に継続して農業を営むか他者に貸付する場合において、納税が猶予されます。猶予された納税額は、農業相続人が死亡したり、該当の農地を農業の後継者に一括で生前贈与した※3場合は、免除されます。

※2農地として取引きされる場合に通常認められる価格
※3特定貸付をしていない相続人に限る


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