遺産分割協議や相続税の申告も無事終わり、ほっと一息ついたと思ったらまた新たな財産が発見された…というケースは実はよくあります。
このような時、相続人はどのように対処すればいいのでしょうか。
「新たな財産」への対応方法や、手続きの上で注意すべきポイントをご紹介します。
1.遺産分割終了後に新たな財産が出てきた場合の対応方法
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!- 新たな財産のみで再度、遺産分割協議を行う
遺産分割後に新たな財産が見つかった場合は、その財産について相続人全員で話し合いをし、相続割合を決める必要があります。
ただし、最初の遺産分割時に作成された遺産分割協議書は、基本的には有効のままです。 - 遺産分割協議を最初からやり直す
しかし、後から発覚した財産が遺産全体の中で大きな割合を占めるケースや、新たな財産についての分割協議がなかなか進まない場合もあります。
相続人の中にも、「この財産の存在を始めから知っていたら、違う分割を希望した」という人が出てくるかもしれません。遺産分割協議は、一部の相続人が財産を故意に隠していたと考えられる場合や相続人全員が合意した場合、前回のものを無効にしてやり直すことができます。
- 今後さらに、また別の財産が見つかる可能性がある場合は
遺産分割協議書には、今後また新たに財産が見つかった場合の取り決めを先に記載しておくことが可能です。
「後日、本協議書に記載のない遺産が判明した場合は、すべて相続人○○が取得する」というように、あらかじめ相続人を決めておくこともできます。相続人にとって、何度も遺産分割協議をすることは、負担が大きい場合もあります。
遺産の有無の確認は、できる限り念入りに行いましょう。
よって、新たに発覚した未分割の財産についてのみ、あらためて遺産分割協議をおこなうことになります。
2.相続税申告終了後に新たな財産が出てきた場合の対応方法
相続する財産が増えたということは遺産総額が変わってしまうということになります。
そのため、相続税の額も変わってきます。
早急に相続税の修正申告をする必要があります。
相続税の申告期限被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内を過ぎていた場合、延滞税も負担しなくてはなりません。
新たな財産がとくに現金などの場合、「黙っていてもバレないだろう」と申告をせずに済ませようとする人もいるかもしれません。
しかし、先に税務署から申告漏れを指摘された場合や、故意による「遺産隠し」と判断された場合、過少申告加算税の対象になるケースもあります。
この過少申告加算税は、新たな財産にかかる税金の10%が課されます。
ただし、期限内に申告した時の納税額と、50万円とのいずれか多い金額を超えている部分については、15%になります。
また、申告をせずに財産を隠したり、故意に偽装するなど悪質な場合は、いわゆる脱税の罰則である重加算税税金総額の40%が課される可能性もあります。
過少申告加算税は、自主的に修正申告をすればかかりません。
面倒と思われるかもしれませんが、きちんと相続税の修正申告を行うことが大切です。
まとめ
遺産分割後に新たな財産が見つかった場合の対処方法は、次の2つです。
- 最初の遺産分割協議書を有効とし、新たに発覚した未分割の財産についてのみ分割協議を行う
- 遺産分割を最初からやり直す
相続税の申告を既に済ませていた場合は、早急に相続税の修正申告が必要です。
故意に隠そうとしたり、申告を先延ばしにしたりしていると「遺産隠し」として過少申告加算税や重加算税が課される場合もあるので注意しましょう。