ある程度の広さを持っている土地を相続し、その相続税額を算出するとき、その土地が「広大地」と解釈されるかどうかが大きく影響します。
一般的に、相続税額を算出するための土地の評価額は、路線価や倍率方式で評価されます。しかし、もしその土地が「広大地」と評価された場合、その土地の評価額は以下の式に当てはめて算出されます。
広大地の価額 = 広大地の面する路線の路線価 × 広大地補正率※ × 地積 ※広大地補正率 = 0.6 - 0.05 ×(広大地の地積 ÷ 1,000平方メートル) |
広大地補正率は0.35が下限とされていますので、一般的な評価額に比べて、広大地の場合は、評価額がおおよそ3分の1になる場合があるのです。
広大地の条件
広大地かどうかの判断は、財産評価基本通達24-4に以下のような条件が定義されています。
・その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大である
・開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要である
この「開発行為」というのは、都市計画法第4条12項に定められている建築物の建築に当たります。
また、これらに加えて、広大地が以下の条件に当てはまらない必要もあります。
・大規模工場用地
・中高層の集合住宅等の敷地用地(マンション適地)
大規模工場用地かどうかは、標準的な宅地であれば外れるでしょう。ただし、マンション適地かどうかの判断は、きちんとした指針がありません。しかし、「中高層の集合住宅等を建設することが、経済的にもっとも合理的な開発」だと判断されるかどうかということになっています。
では、最初の「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大である」については、どう解釈するのでしょうか?
「その地域」、「標準的な宅地の地積」、「著しく広大」に分けて、解説していきます。
(1)その地域
まず一つ目のポイントは、「その地域」です。
ここでいうその地域というのは、広大地かどうかを判断する土地を含む地域です。ただし、どこまでも含めていては埒があきませんので、「利用状況や環境などがおおむね同一な、住宅、商業、工業などになっているひとまとまりの地域」のことを指します。
これは、不動産鑑定評価基準でいうところの「近隣地域」とほぼ同じ内容になっています。
(2)標準的な宅地の地積
広大地の条件の基本である「標準的な宅地の地積」という部分については、国税庁の質疑応答事例にて、以下のような回答がされています。
「「標準的な宅地の地積」は、評価対象地の付近で状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地の地積、評価対象地の付近の標準的使用に基づく宅地の平均的な地積などを総合勘案して判断します」
つまり、以下の二つの地積を基本として、総合的に考えることになるわけです。
・「評価対象地の付近」にある「類似する地価公示の標準地」か「都道府県地価調査の基準地」の地積
・「評価対象地の付近」にある「標準的使用に基づく宅地」の平均的な地積
(3)著しく広大
仮に標準的な地積がわかったとしても、その地積よりも「著しく広大」かどうかを判断するための基準がわからなければいけません。
これもまた、国税庁の質疑応答事例に回答がありますので、それが参考になるでしょう。
その回答によれば、市街化区域、非線引き都市計画区域及び準都市計画区域は、以下の「開発許可面積基準」以上であれば、原則として、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大といえるということになっています。
・市街化区域(三大都市圏) ……………………… 500㎡
・市街化区域(その他) …………………………… 1,000㎡
・非線引き都市計画区域及び準都市計画区域 …… 3,000㎡
※ただし、用途地域が定められている場合は、市街化区域に準ずる
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